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「石油=利権」の考え方はもう古い…いま一番困っているのはトランプだ「戦略なき参戦」の実像とは

 刻々と状況が変わるイラン戦争。さまざまな情報が錯綜しているが、そもそもトランプはなぜイランを攻撃したのか。そして、今後状況はどう変化していくのだろうか。地経学の第一人者で、東京大学大学院教授/地経学研究所長の鈴木一人氏が解説する。

 みんかぶプレミアム連載「鈴木一人 地政学×経済安全保障=地経学」

目次

「石油=利権」の考え方はもう古い

 イラン戦争について、一部には「トランプはイランの石油利権を奪うことが目的だ」とする意見もあります。しかし、石油利権を奪うというのは何を意味するのかを考えてみてほしいと思います。

 「石油利権を奪う」ことが「イランの石油の掘削権を奪う、あるいは独占的に取り扱う」ことを指すのであれば、いま石油を扱っている人たちを排除しないといけませんよね。いまアメリカが行っているのは空爆のみですが、本当に石油利権を奪うとなると地上部隊を送り、真正面から戦わなければならなくなります。

 それでも、石油利権を奪うのは簡単なことではありません。アメリカが主体となって2003年に始まったイラク戦争でも、その狙いに石油利権の確保があったと言われていますが、大量の兵力を投じても奪取できませんでした。現行のように、空爆だけでその目的を達成するのは不可能と言っていいでしょう。

 また私は、条件反射的に「石油=利権」と考えるのはやめたほうがいいと思っています。

 トランプは1月にベネズエラを攻撃し、「次はキューバだ」といった噂もありますが、ベネズエラもキューバも、資源を目的としているわけではありません。キューバには目立った資源がありません。要は、トランプは反米国家が気に入らないのです。

 ですから「石油がほしくて反米国家を叩く」のではなく、「反米国家を叩こうとしたら、その国が石油を持っていた」とみるのが正しいと思います。

核協議に前向きだったトランプ

 2025年6月、イスラエルがイランを攻撃しました。そこから始まったのが、いわゆる「12日間戦争」ですが、これもアメリカとイランの外交交渉中に行われたものでした。

 イスラエルとしては、アメリカとイランの核合意が成立してしまうことを何としても止めたい。そのため、今回も「アメリカとイランの交渉中にイスラエルが攻撃する可能性がある」とは想定していました。

 ただし、アメリカがこの戦争に参加したことには驚きました。トランプはイランとの交渉に前向きだと考えていたからです。

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この記事の著者
鈴木一人

立命館大学大学院国際関係研究科修士課程修了、英国サセックス大学大学院ヨーロッパ研究所博士課程修了(現代ヨーロッパ研究)。筑波大学大学院人文社会科学研究科専任講師・准教授、北海道大学公共政策大学院准教授・教授などを経て2020年10月から東京大学公共政策大学院教授。国連安保理イラン制裁専門家パネル委員(2013-15年)。2022年7月、国際文化会館の地経学研究所(IOG)設立に伴い所長就任。

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