AIが若手の仕事を奪う? 新卒採用が変わる時代に注目すべき業界とは
ChatGPTが「チャッピー」という愛称で呼ばれることもあるなど、生成AIは私たちの生活に広く定着した。今後、AIが労働環境にまで普及した場合、雇用にはどのような変化を与えるのだろうか。7月15日に発売された『AIバブル後の投資戦略 「真の分散投資」を求めて』(ダイヤモンド社)の著者で、ブルーモ証券株式会社代表・中村仁氏に話を聞いた。全4回の第3回。(聞き手・望月悠木)
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自動運転とは異なり「置き換えられる価値」が大きい
――AIが社会にもたらす変化について、過去の技術と比較するとどう見えますか。
比較対象としてよく挙げられるのが自動運転です。10年ほど前から「人間が運転しない時代が来る」と大きな期待を集めましたが、実際にはそれほど早くは広がりませんでした。今もアメリカの一部地域で運転手なしのタクシーが走っている程度で、日本の道路で日常的に見かけるわけではありません。自動運転によって置き換えられる価値は、基本的に運転手の賃金の部分に限られており、そもそも置き換えられる市場そのものがあまり大きくなかったことが一因だと考えています。
一方でAIが置き換える対象は、オフィスで行うような給料の高い仕事です。人件費が高く、大きなお金が動いている領域を代替できる可能性があるという点で、置き換えられる価値の大きさがまったく違います。
――さまざまなシチュエーションでAIが一般化しそうですね。
ただ、需要そのものはあっても、社会に広まっていくスピードは別の要因に左右されます。1つはデータセンターに必要な電気・水・半導体などにかかる物理的な制約。もう1つは各国政府による規制の動きです。特に規制が想定より早く強化された場合、AIが社会に広まるスピードは大きく鈍る可能性があります。
若手から縮小するオフィスの仕事
――AIの普及によって、雇用はどのように変化していくと予想されますか。
すでにアメリカの大学からは、「就職先が決まらない学生が増えている」という報告があります。これまで新入社員や若手が担ってきた業務は、AIに任せられるようになってきているため、一人の優秀な管理職がAIを使いこなせれば、これまで複数人が担っていた仕事をカバーできる世界になりつつあるからです。
「AIをうまく使える人材を少数育てればよい」という考え方に企業が向かえば、それ以外の決まりきった事務仕事は必要とされなくなる可能性があります。言い換えれば、若手が経験を積む機会はAIに奪われ、オフィスワークでキャリアを積んでいくこと自体が難しくなるかもしれません。
――こうした動きは、すでに日本でも見られますか。
日本の労働市場はアメリカに比べて変化が遅いとは思いますが、同じような流れはすでに始まっていると見ています。新卒を大量に採用する必要性そのものが薄れていく方向に、じわじわと向かっていくのではないでしょうか。