東大理三卒の天才医師「ソクラテスと孔子の価値観の違いから、自分の本当の価値観に気づいた」長い人生で、成果を生み出しやすいのは「価値観が一定している人」
「日本最高峰の頭脳が集まる東大で、最も難しいのは『自分を発見すること』だ」――そんな常識を覆すような事実を語る人物がいる。開成中学から東京大学理科三類(医学部医学科)へ、最低点から50点以上の余裕をもって現役合格を果たした、さぐさぐ氏だ。
受験生時代にはアジア太平洋数学オリンピック銅賞、東大数学本番六完、開成高校内実力模試で英語・国語・化学同時学年一位など、全分野において最強レベルの成績を誇る“万能の天才”であり、現在は東大医学部卒の臨床医として活躍している。
本稿では、東大卒というエリート街道を歩む人々が抱えがちな「人生設計のバグ」と、社会のしがらみから解放されて“本当に自分に合った価値観”を見つけるためのロードマップを同氏が徹底解説。若い頃のプライドから生じる進路の罠から、自身の個性と向き合うための極意を余すところなく語っていただいた。短期連載全2回の第2回。
みんかぶプレミアム連載「東大理三の人生論」
目次
長い人生で、成果を生み出しやすいのは「価値観が一定している人」
長い人生の中で、成果を生みやすいのは「価値観が一貫している人」です。たとえば、「お金儲けだけが偉い」という価値観を持っている人がいるとします。普通に生きてきて40歳になって初めてその価値観に染まった人が、そこからお金持ちになるのはなかなか難しいですよね。しかし、東大に入れるような賢い子が12歳の段階で「お金だけが偉い」と確信し、その思想を持ち続けて生きたら、40歳の時にはほぼ確実にお金持ちになっています。
自分の個性に合った価値観を持つことで、長期的にブレがなくなり、結果的に成果が出やすくなるのです。逆に言えば、「勉強ができる人が偉い」という価値観だけで生きてきた人が、40歳になって「本当は勉強なんてしたくなかった、もっと若い頃に恋愛をしたかった」と気づいたら悲惨です。だからこそ、東大生を筆頭とする多くの高学歴な人たちは、早い段階で自分の個性と向き合い、「自分は本当に勉強だけをすべきなのか」を真剣に考えるべきなのです。
本当の自分を見つけるための「読書と旅行」のすすめ…ソクラテスと孔子の価値観の違いから自分の価値観に気づいた
では、どうすれば自分の価値観に気づけるのか。一番典型的な方法は、色々な人と会って多様な価値観に触れることです。そしてよく言われることですが、「旅行(空間的)」と「読書(時間的)」も非常に有効です。
例えば読書に関して言うと、私は大学の時に古代ギリシャ語を勉強していてプラトンの対話篇を読み、一方で高校時代から得意だった漢文で『論語』をはじめとする四書を読みました。この二者は、しばしば同じテーマでも全く違うことを言っています。例えば「自分の親が犯罪をした時に、子供はそれを警察に突き出すべきか」という問いに対して、孔子は「親が悪いことをしたら黙っているのが真っ直ぐということだ」と説きます。一方、プラトンの描くソクラテスは「自分が不正をするより他人から不正される方がマシであり、親のためにも警察に突き出して罰を受けさせるべきだ」と主張します。これらを読み比べた時、私は「中国のおじさん(孔子)の言っていることの方が同意できるな」と感じました。このように読書を通して多様な意見に触れることで、自分が本当はどう思うかを吟味できるのです。
旅行に関しても同様です。私はプリンストン大学に1年間留学していましたが、それまで私の知り合いはほぼ100%日本人でした。日本人として「橋本環奈と長澤まさみ、どちらが可愛いか」といった意見は持っていましたが、白人や黒人の顔については区別すらつかず、美人の基準を持っていませんでした。しかし、アメリカで生活し様々な人と交流する中で、自分の中に新たな基準が生まれ、今ではアーニャ・テイラー=ジョイという女優を推しています。自分と違う文化圏の物事を学ぶことで、凝り固まった価値観をアップデートできるのです。