利確、損切りのタイミングは? 3億円運用の投資家が教える注目銘柄と「鉄の掟」

本稿で紹介している個別銘柄:商船三井(9104)、日本郵船(9101)、パワーエックス(485A)、ジーエス・ユアサ コーポレーション(6674)、プログリット(9560)、LIFULL(2120)
3億円以上の資金を運用する個人投資家のkenmo@湘南投資勉強会さん。中小型株の売買を得意としていましたが、現在は「変化の痛み」を受け入れながら、手法のアップデートを進めています。
乱高下が激しいこの相場で着実に資金を増やすには、どんなマインドセットが必要なのか?
今注目している銘柄やテーマについて語っていただきました。インタビュー連載全2回の最終回。
目次
負けないための「鉄の掟」
ーー現在、信用取引のレバレッジはどれぐらいかけていますか?
今は1.3倍程度ですが、決算シーズンは引き上げることもあります。出てきた数字を見て「これは良い」と確信を持てれば、その瞬間の余力などはあまり気にせず、信用取引で買いに行きます。
ーー利食いや損切りについて教えてください。
信用ポジションであっても、含み益が乗っている限りは急いで切る必要はないと考えています。一方で、含み損になった銘柄は機械的にバシバシ切っていきます。
3月に大きな調整を挟んだ今は、潜在的に「買いたい」と考えている参加者が多い状況です。そのため、決算内容を確認してから強い銘柄を買えば、そのまま含み益になるケースが意外に多い。結果として、今のところは信用ポジションを無理に調整する必要性をあまり感じていません。
ーーロットを大きく張る際に、絶対に守っている鉄則はありますか?
損切りに尽きます。銘柄によっては流動性リスクを考慮することもありますが、基本的には損切りを徹底できるかどうかがすべてです。
基本的には「8%」を絶対的な損切りラインとしています。ただ、この8%はあくまで最終防衛ラインとしての目安です。実際には、全体のバランスを見て1~2%程度の含み損で切ることもありますし、私自身は「息をするように損切り」をしているので、いちいち8%という数字を意識するまでもなく、体が勝手に反応して弱い銘柄から順にポジションを整理している感覚ですね。
「一人反省会」が投資家を強くする?
ーー「一人反省会」を頻繁に行っているとのことですが、その具体的なやり方を教えてください。
反省会を行う目的は大きく分けて二つあります。一つは、メンタルを整え、リセットするためです。マーケットは毎日続いていくもので、失敗をいつまでもグズグズと引きずっていても仕方がありません。一度すべて損切りして、ある程度のキャッシュを持った状態で相場に入り直す。そうすることで気持ちを切り替え、改めて強い銘柄に乗り換えていくための儀式のようなものです。
二つ目は、失敗の本質を言語化するためです。反省会が必要なときというのは、必ず何かしらの間違いをおかしています。その間違いが何だったのか、なぜそれをしてしまったのか、そして今後同じミスを繰り返さないためにはどうすべきか。これらをノートに書き出し、数年後に同じような局面が訪れたとき、いつでも見返せる状態にしておきます。
この積み重ねが、不安定な相場を生き抜く力になると信じています。
Kenmo氏の注目銘柄は?
ーー今注目しているテーマや銘柄を教えてください。
3月にマーケットが大きく下げた際、逆行高で高値を更新していた銘柄群が二つありました。
一つは、ホルムズ海峡封鎖による運賃上昇期待で買われた商船三井【9104】や日本郵船【9101】などの「海運」。そしてもう一つがパワーエックス【485A】やジーエス・ユアサ コーポレーション【6674】などの「蓄電池関連」です。
前者は一時的なマネーの退避先かと感じましたが、後者については地政学リスクによって原油の供給不安や価格高騰が意識されるなかで、脱炭素やエネルギーの自給自足、EVシフトといった文脈から、蓄電池に強い関心が寄せられていると感じました。ホルムズ海峡の緊張から原油に頼らないエネルギー源へと資金が流れているように見受けられたため、この分野にはマーケットの強い意志を感じます。
そうは言いつつも、気づけばキオクシアや古河電工がするすると高値を抜いていってしまったので、結局のところ、主役は依然として「AI・半導体」だったというのが正直な今の実感ではありますが……。
ーー銘柄選びのきっかけとなるカタリストはどのように見つけていますか?
最近はとにかくニュースです。「Newsモーニングサテライト」(テレビ東京)、日経電子版、SNSなどもたまにチェックします。ニュースのフローから「次はこのテーマにお金が入りそうだ」という兆候を読み取って、先回りして買っていきます。
ただ実は、私はこれがものすごく苦手です。以前はニュースはほとんど見ず、個別銘柄の決算だけを精査して、地合いに関係なく2倍、3倍と上がる銘柄を一本釣りするスタイルでした。しかし、今のマーケットはニュースを追わないと土俵にすら立てない状況です。投資家が今どこに興味を持ち、どんなイベントを注視しているのか。それを把握するために、今は嫌々ながらも必死にニュースに食らいついている状態です。