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地政学リスク、インフレ・・・金融アナリストが熱視線を送る「優等生銘柄」の見つけ方

(c) AdobeStock

 米国独立250周年や秋の中間選挙といった大型イベントを控える中、市場はどう動くのか。世界の分断が意識される今、「継続的な政策テーマ」を持つセクターへ確実に資金が向かっています。

 複雑な情勢を読み解く金融アナリスト・個人投資家の三井智映子さんに、地政学リスクがもたらす最悪のシナリオを紐解きながら、週末のキャッシュ比率の目安や時間分散の鉄則といった資金管理術などについて語っていただきました。インタビュー連載全2回の最終回。

目次

下半期に向けた動きはどうなる?

ーー7月4日に迎える米国独立250周年や、秋の中間選挙といった大きなイベントが控える下半期に向けて、どのような動きを予想されていますか?

 こうした節目は単なる記念行事ではなく、財政出動やインフラ投資、製造業の国内回帰、国威発揚を伴う政策発信などに結びつきやすいテーマです。

 また、11月の中間選挙が近づくにつれて、現政権も市場も、景気悪化や雇用不安、株価の急落を避けたいというインセンティブが強く働きます。ただし、選挙イヤーだからといって市場全体が綺麗に右肩上がりになるとは限りません。むしろ政策テーマに関連した特定の銘柄やセクターに資金が偏る傾向があります。そこに注意を払いつつも、マーケット全体としては「これ以上下げさせたくない」という底堅い雰囲気が醸成されるイメージを持っています。

ーー基本的には上目線の相場観ということですね。海外投資家の動向はどう見ていますか?

 自民党が大勝し、政権基盤が強まったことで、外国人投資家が日本株を前向きに評価しやすい環境は整いました。もっとも、地政学リスクが高まると一時的に利益確定売りが出やすく、投資部門別売買動向を見ても、海外資金は戻る週と離れる週が交錯しています。だからこそ、海外投資家の視点を意識しながら相場を見る必要があると感じています。

注目!仕込みたいセクターは?

ーー今後の仕込みとして、具体的にどのセクターに注目していますか?

 防衛、エネルギー、インフラといった、高市政権の政策テーマに注目しています。特に「政策の継続性」があるかどうかが重要です。

 防衛に関しては、世界の分断が意識される中で、防衛力の強化は世界的な潮流であり、単年度で終わらない継続的なテーマです。なかでも三菱重工業などは、防衛だけでなく宇宙などの複数分野にまたがる政策関連株として注目に値します。

 エネルギーやコモディティについても、単なる資源高の恩恵だけでなく、設備投資の局面にある点が強みです。インフラも、老朽化した施設の更新や防災、電力網、さらにデータセンター関連まで裾野が非常に広がっています。これらは大きな下落がない限り手放したくない、中長期的なコア資産としてポートフォリオに入れておきたいです。

ーー常に警戒心を持っておく必要があると思いますが、次に警戒すべきブラックスワン的な事象としては、何を想定していますか?

 やはり景気停滞とインフレが同時に進行する状態です。現在は地政学リスクそのものが最大の懸念だと捉える向きもありますが、本質的には「地政学リスクによって引き起こされるインフレリスク」が非常に危ういポイントだと見ています。

 そこで何に注目すべきかといえば、やはり原油価格のチャートです。地政学的な緊張と金利上昇が同時に悪化することが、市場にとって一番の懸念材料になります。中東情勢が緊迫して原油高になり、それがインフレ期待につながって長期金利が上がる。そうなると 株式市場は、企業の業績不安とバリュエーションの圧縮を同時に食らうことになります。日本の場合、原油高によるドル高・円安が進んでも株が買われにくいのは、エネルギーの輸入依存、特に中東への依存度の高さからくる業績悪化が強く意識されているからです。

 日本は依然として経常黒字国ではありますが、財務省の資料を見てもデジタル収支の赤字拡大が指摘されています。もはやエネルギーだけでなく、デジタル分野でも構造的な円安圧力がかかっている。外貨獲得の構造が昔ほど単純ではなくなっている中で、エネルギー価格の上昇と円安加速が重なれば、輸入インフレの負担が家計や内需企業に重くのしかかります。インフレ再燃を伴う戦争というシナリオは、非常に大きな懸念事項だと言えます。

ーー底打ちの判断材料として、VIX指数(恐怖指数)なども有効でしょうか。

 分かりやすい指標だと思います。一般的には「20」が目処と言われますが、今の相場ではその基準もあってないようなものです。過去の推移を見ると、VIXが30を超えるような局面は、市場の恐怖がかなり高まっているサインとして、打診買いを検討する一つの目安にはなり得ます。

 もちろん、40や50まで振り切る可能性も想定しておく必要はありますが、30を超えたあたりで、自分がリストアップした銘柄が「バーゲンセール」の状態にあるかどうかを確認し始めるのは一つの手だと思います。

ーー個人投資家が底を狙う際に意識すべきポイントは?

 やはり「時間分散」です。あらかじめリスト化した銘柄であっても一撃で買わず、今の水準で少し、さらに下がったらもう少し……と段階的に拾っていく。反発したと思って飛びつくと、そこからもう一段の下落に巻き込まれることもあります。

 専業ではなく本業をお持ちの方は特に、自分がぐっすり眠れる程度のポジションに留めることが大切です。冷静に判断できるだけの資金余力を残しつつ、少しずつ買い集めるのが、最終的に負けにくい手法だと考えています。

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