「退場さえしなければ勝てる投資法」バリュー株投資家が教える利上げの意味と注目銘柄

本稿で紹介している個別銘柄:コスモスイニシア(8844)、ハピネット(7552)、コラントッテ(7792)
「割高なものは買わない」そのルールを貫くがゆえに、テーマ株が上がっても手を出さず、値上がりした銘柄はむしろ売らされていく。半導体一強でバリュー株が苦しむ今、書籍『学校では教えられない、人生の「期待値」の考え方 「5歳」から始める金融・投資の勉強法』(パンローリング)の著者・某哲也さんはあえてアクセルを緩め、来たるべき急落を待っています。
強気相場の裏側で、彼が見据えるリスクとは? 某哲也さんが今注目している銘柄を伺いました。
みんかぶプレミアム特集「激動相場 この夏の狙い目」第1回。
目次
金利が上がると高配当銘柄はどうなる?
ーー日銀は利上げを決定しましたが、バリュー株投資家はこの流れをどう見ていますか?
金利が上がると、高配当の魅力は薄れて「高配当だから」という理由だけでは買われなくなります。とはいえ、高配当銘柄の保有者は株を売らないため、それで下がるかと言われると分かりませんが、上値は重くなるでしょう。
だから、業績成長がある「収益バリュー」や、隠れ資産をたくさん持っている「資産バリュー」などが必要で、「高配当プラス何か」がある銘柄でないと、上がりにくいかなと思っています。
自分は収益が伸びていく収益バリューに絞っているので、今後はより一層、利益成長が大きいところに寄せていかないと、パフォーマンスが取れないかなとは思っていますね。
ーー新NISAが普及して、個人投資家の裾野がかなり広がっている印象があります。新規参入者が真っ先に陥りがちなことは何か、そしてそれを回避するにはどうしたら良いか、教えてください。
僕の場合は今のルールを確立するのに5年かかっているんです。みんな、早くて3年。「ちょっと手応えが出てきた」「こういうふうにいこう」と固まってくるのは3年から5年くらいです。
それまでは「早く儲けたい」という思いを捨てることが大切です。株は、欲との勝負です。インデックス投資の平均が年率7%、個別銘柄では、ある程度自分で選んで、それを持ちっぱなしにできるなら、年率10%くらいは目指せると思うんです。
まず、そこがスタートラインだと僕は思っていて、「100万円を何年かで倍にしたい」というのは、無謀だということを知ってほしいです。書店に並んでいる「100万円が何億円になりました」といった本を真に受けすぎて、「何十%が当たり前に出せるんだ」と勘違いすると絶対に失敗します。そもそも、10%をコンスタントに叩き出せる投資家は、すごく優秀な部類です。投資家全体で言うと、おそらく1〜2割くらいの世界ですから「年10%を目指していく」、それを基に計画や道筋を立てて、無理なく計画的にやることが大事だと思いますね。
また、初心者は、「株価が上昇している」良い方のことしか見ていなくて、リスクを見ていないんですよ。期待値というのは、上振れと下振れの両方を考えたうえでの期待値であって上だけしか見ていないのは期待値とは言えません。
そのため「まず負けないところから入る」「負けても傷が浅いところから入る」。格闘技でも受け身から覚えるように、失敗することを想定して取り組むべきでしょう。
注目している銘柄3選
ーーでは、今注目している銘柄を、いくつか教えていただけますか?
まず1つ目が、コスモスイニシア【8844】。
セクターとしては不動産ですが、ホテル事業もやっています。ホテルといっても「アパートメントホテル」で長期滞在ができるホテルです。家族で一室に入って1週間滞在するという人にもぴったりです。
キッチンもついているのでインバウンドの外国人に受けています。日本と違って海外からの観光客は、家族で一緒に行動したがったり、旅先で食材を買って料理したりしたいという人が多く、利用客の95%くらいが外国人なんです。東京・大阪あたりで事業展開がすすんでいます。
不動産銘柄は借金が多いので、金利上昇は逆風だということで売られています。だから不動産銘柄は今安いので「不動産セクターだけど、ホテルもやっている」ようなところは、不動産一本よりも安定感がありますし、金利が上がっても対応できる場合が多いでしょう。
政府も2030年に向けてインバウンド観光客を増やすと後押ししているので、これからも好調だろうと見ています。なにより今は不当に売られすぎている印象で、注目しています。
ちなみに、予想配当利回りも今は4%台と高め、配当性向は25%くらいと低くて、無理して配当を出しているわけではないので、減配リスクも低いです。業績もアパートメントホテルが伸びているので、長い目で見れば僕は増収増益になっていくと思います。底堅いし、安いと思いますね。