「金利上昇でも銀行株は買わない」資産10億円投資家が警告する“国債のワナ”と密かに仕込むPBR0.6倍の激安株

本稿で紹介している個別銘柄:フィード・ワン(2060)、日本甜菜製糖(2114)、昭和産業(2004)、J-オイルミルズ(2613)
インフレの長期化や日銀の利上げが意識されるなか、投資家の関心が金融セクターに集まっている。メガバンクや地方銀行の株価が底堅く推移するのを見て、「金利が上がれば銀行の利ざやが改善し、利益も増える」と考える人は多いだろう。
しかし、独自の投資手法で資産10億円を築いた株億太郎氏は、「私は今の水準で銀行株を買うつもりはありません」と明言する。
金利上昇の恩恵ばかりが注目される銀行株の裏側には、保有国債の価格下落という見過ごせないリスクがあるという。
では、AI・半導体株や銀行株を避けた資金は、次にどこへ向かうのか。株億太郎氏の注目銘柄を伺った。インタビュー連載全3回の第1回。
なぜ、金利上昇でも銀行株を買わないのか
ーーインフレへの警戒から、日銀の追加利上げが意識されています。金利上昇局面では利ざやの改善が期待できるため、銀行株は長期保有に向いているのではないでしょうか。
メガバンクや地方銀行、ゆうちょ銀行などを買っている投資家が多いことは知っています。「金利が上がれば、預金金利と貸出金利の差が広がり、銀行が儲かる」と考えているのでしょう。
ただ、私は今の水準では、銀行株を積極的に買いたいとは思いません。貸出金利の上昇だけを見て判断するのは危険だからです。
銀行は、預金を原資に融資や有価証券への投資を行うため、一般の事業会社とは財務構造が大きく異なります。
そのため、事業会社の自己資本比率と単純に比較することはできませんが、金利や保有資産の価格変動が財務に与える影響は慎重に見る必要があります。
なかでも私が懸念しているのが、銀行が大量に保有する国債です。
金利が上昇すると、すでに発行されている低金利の国債は魅力が薄れ、価格が下落します。その結果、銀行が保有する国債に評価損が生じる可能性があります。
もちろん、国債の保有目的や会計上の分類によって、価格下落が決算や自己資本に与える影響は異なります。
それでも、本業の貸出で利益が増える一方、保有債券の価値が大きく下がれば、金利上昇の恩恵をそのまま享受できるとは限りません。
市場は「利上げ=銀行株に追い風」というわかりやすい部分ばかりを見て、その裏側にあるリスクを軽視しているように感じます。
地銀再編は成長策か、限界のサインか
ーー地方銀行では、SBIグループによる出資や、地域を越えた経営統合のニュースも相次いでいます。
地方銀行の再編が続いている背景には、人口減少や地域の融資需要の縮小、システム投資の負担などがあります。
単独でこれまでと同じ収益を維持するのが難しくなり、複数行で規模を拡大したり、大手グループの傘下に入ったりする動きが進んでいるのでしょう。
もちろん、統合そのものが悪いわけではありません。経営効率が改善し、新たな成長につながるケースもあります。
ただ、銀行株を買う際に「みんなが買っているから安全」「配当利回りが高いから長期保有できる」と考えるのは危険です。
金利上昇による利益の増加だけでなく、保有国債の状況や資本の余力まで確認しなければなりません。
高配当で魅力的に見えても、私は今の価格で銀行株に飛びつくのは怖いと感じています。