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マイクロン決算が告げた「キオクシア大逆転」のシグナル。生成AI相場の現在地と、暴力的なボラティリティに負けないポートフォリオ戦略とは

マイクロン決算が告げた「キオクシア大逆転」のシグナル。生成AI相場の現在地と、暴力的なボラティリティに負けないポートフォリオ戦略とは

 日経平均株価が1日で3,000円上げては、翌日には容赦なく3,000円下げる。 まさに「暴力的な買い圧力」と激しい投げ売りが交錯するジェットコースターのような相場環境のなか、日々振り回され、疲弊している個人投資家も少なくないはずだ。

 この乱気流のなかで、今後の命運を握る最大のイベント「3月期決算の第1四半期(1Q)発表」が、あと2〜3週間もすれば本格化する。足元の半導体・AI相場は、果たしてバブル崩壊に向かっているのか、それともまだ踊り場に過ぎないのか。

 その大きな試金石となったのが、2026年6月25日に発表された米マイクロン・テクノロジーの3〜5月期決算だ。この結果を受け、日本のメモリ関連株、特に2027年4-6月にADR上場を目指すと発表されたキオクシア周辺の株価が急騰する局面が見られた。

 市場の多くはこれを単なる「好決算による連れ高サプライズ」と捉えた。しかし、fundnoteのファンドマネージャーを務める神谷悠介氏の分析は極めて冷徹だ。

「目先の株価のノイズに惑わされてはいけません。マイクロンの決算データの裏側を精緻に読み解けば、あるメモリ株の『大逆転シナリオ』と、生成AI相場の強固な現在地がはっきりと見えてきます」

 なぜ、現時点で長期契約を多く持たないはずのキオクシアが、今期最大の「勝ち組」へと躍り出るのか? そして、プロの機関投資家たちはこの「暴力的な相場」の裏で、どのようなシグナルを見て資金を動かしているのか?

 今回は神谷氏に、個人投資家が生き残るための「ファクトに基づいた真のポートフォリオ戦略」を徹底的に語り尽くしてもらった。
(取材日:2026年6月25日、文:ちょる子)

 みんかぶプレミアム連載「fundnote 川合・神谷の目」

目次

マイクロン決算の真実。キオクシアが今期「勝ち組」に躍り出る構造的理由

 直近のAI・半導体セクターにおける最大の注目点であった米マイクロンの決算発表。神谷氏はこの内容について、「前四半期を引き継いで『順当に堅調』であり、決算そのものに大きなサプライズがあったわけではない」と指摘する。

 では、なぜ市場は反応したのか。神谷氏が着目するのは、マイクロンとキオクシアにおける「契約構造の決定的な違い」である。

「マイクロンやサンディスクは、大口顧客との間で『LTA(長期契約)』をある程度の比率で結んでおり、2026年度決算にも一定の影響を及ぼすものと見られます。これにより、彼らは中長期的な利益の安定性を確保しており、市場からは好感されています。一方で、日本のキオクシアは足元でこうした長期契約をそこまで多く締結していないと見られます」

 一見すると、利益が安定する長期契約を持たないキオクシアの方が不安定で不利に思える。しかし、市況が急回復している「今」という局面に限っては、この弱点と思われた構造が真逆の爆発力を生むというのだ。

「長期契約が少ないということは、逆に言えば、いま急上昇している『スポット価格(随時取引価格)』の上昇恩恵を、今年いっぱいは丸々享受できる可能性が高いということです。昨年度のキオクシア第2四半期決算(25年7-9月期)では、Apple向けと見られますが、スポット価格がまだ安いときに締結された契約の影響を受け、同業他社に比べて価格上昇効果が小さいことが嫌気され、ストップ安したのを覚えている方も多いでしょう。特に昨年はiPhone17が売れて生産台数も多かった年であったため、一時的に顧客ミックスが厳しい環境でした。他社がAIデータセンター向けの契約で市況高の恩恵を受けるなか、キオクシアは一時的に『割り負けていた』状態でした。しかし今期はスポット価格が上昇していくのであれば、もっとも『勝ちやすいポジション』に大逆転しているのです」

韓国勢の「HBM全振り」がもたらす、NAND市場の無風地帯

 さらにマクロな視点でメモリ市場(DRAM、NANDフラッシュ)を見渡すと、キオクシアにとってこれ以上ない「無風の快走空間」が広がっていることがわかる。

 現在、韓国のサムスン電子やSKハイニックスといった巨大競合が最も資金とリソースを投下しているのは、生成AI向け半導体(GPU)の横に並べる超高速メモリ「HBM(広帯域メモリー)」や高付加価値なDRAMである。

「韓国勢にとって、利益率の高いHBMやDRAMの投資優先順位が高く、汎用的なNANDフラッシュメモリーへの投資は事実上、後回しにされています。つまり、競合がNANDの増産投資をしてこないため、NAND専業であるキオクシアやサンディスクにとっては、供給過剰による価格暴落のリスクが極めて低い状態が続いているのです」

 一方で、需要サイドの勢いは凄まじい。

「生成AIが文章(テキスト)の生成から、動画や画像といったマルチモーダルへ進化するにつれ、必要とされるデータ容量(ストレージ)は文字通り桁違いに膨れ上がっています。動画を記憶・処理するためには、膨大なNANDメモリが必要です。供給が増えないなかで、需要だけが爆発的に拡大している。これこそが、キオクシアの営業利益が『価格支配力』によって急回復している本質的な理由です」

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この記事の著者
ちょる子

投資歴14年。平成生まれの兼業投資家。2児の母として育児をしながら億り人を達成し、現在の総資産額は2億円。『日経WOMAN』『ダイヤモンドZAI』、『日経マネー』、『日経電子版』、『日経モーニングプラス』など数多くのメディアに出演。(X:https://x.com/kabu_st0ck)

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