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ついに中国の国力、ピークアウトへ…米中戦争、日本はどっちにつくべきか(長島昭久「魂のインタビュー」最終回)

 台湾有事の可能性が現実性を帯びてきている。一方では、2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻も終わりそうにない。北朝鮮も相変わらず核実験を繰り返している。東アジア周辺の安全保障環境は冷戦終結後最悪レベルにまで達していると言ってもいいだろう。

 日本は今後、どのような安全保障体制を築くのがベストなのか。安全保障に詳しい自民党衆議院議員、長島昭久氏に聞いた――。(全3回の最終回)

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「偉大なる中華民族の復興」を目指す習近平。内政的に窮地に立たされたとき、動き出す

――中国や北朝鮮の軍事的行動の影響もあって、日本でも多少、危機感が高まりつつあり、例えば防衛費を「GDP2%」まで増加する等も、かつてよりは許容されてきているように思います。

長島 まだまだ入り口に立ったばかりです。日本はこれまで、現実的な安全保障や防衛力の構築を20年ほど、さぼってきました。まだまだ脆弱性の方が目立つ状況にあり、それを中国もよく見ているはずです。

 しかし日本が安全保障環境を整えることをもって、「中国を刺激する」「軍拡競争に陥る」とするのは間違いです。今の日本の現状を見れば、軍事費一つとっても6倍もの差が開いている中国との間で、日本の備えが中国を刺激したり、日中間で軍拡競争が起こったりするような状況にはありません。

――アメリカという存在に対抗する、というのは分かりますが、どうして中国はここまで軍備増強に躍起になっているのでしょうか。

長島 中国だけでなく、国際社会のグローバル化への反動として、民族主義的なものの考え方をする国々が出てきています。

 中国の場合は、「アヘン戦争以来、西欧列強にいいように扱われて、自分たちが関与していないところで勝手に作られた近代国家や近代国際法に縛られている。これはけしからん。自分たちが強くなったらこれをはねのけて、思う存分やりたいことをやるんだ」という意識に囚われています。習近平が国家目標として「偉大なる中華民族の復興」を掲げるのもそのせいです。

 その中国にしても、軍事力によって無限に領土を拡大したいというわけではありません。確かに日本の尖閣諸島については「中国のものである」とし、琉球諸島なども「日本のものだ」とははっきり言っていませんから、「台湾だけでなく沖縄も手中に収めるつもりでは」と思ってしまうのも無理はありません。しかし実際に軍事力をもって、日本の南西諸島やフィリピン、ベトナムにまで手を出すかと言えば、さすがにそれはないのではないでしょうか。習近平は戦争がしたいわけではない。「帝国のオーバーストレッチ(拡大しすぎ)」の歴史は中国もよく分かっているはずですから、国家の破滅を招くような拡大を目指すとは思えません。

 習近平が内政的に行き詰まれば、周辺に手を出しかねないという懸念はあります。しかしそうだとしても、まず矛先が向くのはやはり台湾でしょう。

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この記事の著者
長島昭久

自由民主党衆議院議員(7期、東京18区: 府中、小金井、武蔵野市)。衆院拉致問題特別委員長。防衛副大臣、総理補佐官、衆院安全保障委員長など歴任。慶應義塾大学大学院および米国ジョンズ・ホプキンス大学SAISで修士号取得。

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