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中高年が向き合うべき「実家どうするんだ問題」実家が家族の火種になる日

 「実家、どうするつもりですか?」――。中高年世代の多くが、心のどこかで見ないふりをしている現実がある。高齢化する親、老朽化する実家、そして相続という避けて通れない課題。かつては「財産」だった実家が、いまや押し付け合う”負動産”へと姿を変えつつある。相続は「争続」へと変わり、きょうだいの関係さえ揺るがしかねない時代だ。人生100年時代に突入した今、私たちはこの問題とどう向き合うべきなのか。不動産事業プロデューサーの牧野知弘氏が「実家どうするんだ問題」の本質を解き明かす。

 みんかぶプレミアム連載「牧野知弘 不動産を斬る!」

目次

中高年が直面する「二つの老い」親は80代、実家は築数十年

 中高年世代にとって親は80代から90代です。両親ともまだかくしゃくとしていらっしゃるお宅もあれば、片親が亡くなり、単身でお住まいの方、あるいは病院や高齢者施設に入院、入所されている方もいるかと思います。

 さて実家はどうなっているでしょうか。地方の田園地帯にある、地方都市にある、大都市圏郊外にある、ニュータウンにある、いろいろでしょう。最近ではマンションという居住形態がごく一般的になってきたので、親がマンション住まいという方もいるでしょう。

 意外と見過ごされがちですが多くの場合、親の高齢化と足並みをそろえるかのように、家の老朽化が進んでいます。ときたま里帰りなどで実家に顔を出すと、親の老け込み方に驚く一方で、家の老朽化問題が目につくようになっています。

 翻って我が身。実家から出て長い年月が経過しています。地方出身者なら大学に進学する頃から東京や大阪に出る、就職で家を出る。つまり家を出て30年以上が経過していて家に関する記憶は曖昧になりつつあります。そして多くの人がすでに都会やその近くに家を構えています。

 大都市圏出身の人でも、親の多くは郊外の戸建て住宅やマンションで暮らしています。それにひきかえ自分はすでに都内などにマンションを購入していて、いまだローンの返済を続けています。

 きょうだいはどうでしょうか。やはりあなたと同様、家を出てから長い時間が経過しそれぞれの生活を営んでいるはずです。

いつから「相続」は「争続」になったのか

 こうした状況の中、もしも親が亡くなったら「この家どうするんだ」という問題が浮上します。親はどう思っているのでしょうか。子から聞くのはかなり気が引けます。

「ねえ、親父ってさ、死んだあとこの家どうすればいいと思ってるの?」

 みなさんのほとんどがこの質問を直接親御さんにするだけの勇気も仲の良さも持ち合わせてはいないでしょう。またたいていの親は自分が死んだ後の家については子どものうちの誰かが相続するものだと勝手に決めつけていることが多いようです。

 しかし実態は、子どもの多くは実家を継がない、継ぎたがらないというのが本音です。昔は違いました。相続の際には「誰が実家を引き継ぐのか問題」で大揉めになりました。実家が一番の財産だったからです。

 ところが今や、私の知り合いの税理士によれば、現代の相続風景は全く逆です。誰も実家は欲しがらないため、「誰に押し付けるか」で大揉めになるのだそうです。「相続」が「争続」になるというやつです。

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この記事の著者
牧野知弘

不動産事業プロデューサー。東京大学経済学部卒業。第一勧業銀行(現・みずほ銀行)、ボストンコンサルティンググループを経て三井不動産勤務。J-REIT(不動産投資信託)執行役員、運用会社代表取締役を経て、2015年にオラガ総研株式会社の代表取締役に就任。ホテルなどの不動産事業プロデュースを展開している。著書に『なぜマンションは高騰しているのか』(祥伝社新書)など多数。

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