資産を持ち続けるために・・・投資歴20年超のベテラン投資助言者が教える「AIセクター」投資戦略アップデート法

AIブームの真価が問われるいま、これまでの「教科書が通じない」荒れ相場となっています。
投資歴20年超、投資助言者として日々投資家にアドバイスを届ける投資助言者【馬】さん曰く、いまの相場でも「資産を持つ側」に留まり続けるために「投資家として欠かせないこと」があると言います。
激戦状態が続くAI市場において、主役の覇権争いから一歩距離を置き、確実に利益を狙うための「ツルハシ投資戦略」について語っていただきました。インタビュー連載全2回の最終回。
目次
米国株の強さは「無条件」ではなくなった?
ーー馬さんは米国株を8〜9割とするようなポートフォリオを組まれていますよね。その優位性は、この荒れ相場でも揺るぎませんか?
基本的には「揺るがない」と見ていますが、それは無条件の強さではなく、あくまで条件付きの優位性です。
米国株の本質的な強さは、日本企業が長らく真似しきれなかった自社株買いの文化、徹底した株主還元、そしてイノベーションを起こす企業がシリコンバレーをはじめとする一大集積地に集中していることにあります。この構造的な強みは、トランプ政権の政策がどうなろうと、そう簡単に失われるものではありません。
ところが、2026年に限って言えば話は別です。関税強化、ドル安圧力、巨額の財政赤字という三重苦がのしかかっており、これが一時的なバリュエーションの圧縮、すなわち株価評価の切り下がりを招くリスクは十分にあります。そのため「米国株だから中長期で盲目的にガチホしておけば良い」とは考えていません。良い銘柄ほどすでに高値圏にありますから、今は期待値の高い銘柄やETFを狙い、質の高い短期トレードを積み重ねることが今年の主戦略だと思っています。
下半期の相場は、「神経質な上昇トレンドの模索」になると見ています。急騰と急落を何度も繰り返しながら、それでも年末に向けては徐々に水準を切り上げていく。これが基本シナリオです。重要なのは、この「神経質」という部分です。上昇過程の中で、マイナス15〜20%級の強烈な急落が突然やって来ても、何の不思議もありません。この激しいボラティリティに振り回されず、自分のルールを守り抜いた人だけが、年末にもっとも良いポジションに立てるはずです。
ーーAI関連株の急落局面がありましたが、これはチャンスと見ていますか? また、大企業同士の競合リスクについてどうお考えでしょうか。
一部の銘柄に限ってはチャンスですが「下がったAI銘柄が全部同じように元の高値へ戻る」などという甘い見方をすると火傷します。
AIの世界も最終的には、プラットフォームを握って生き残れるのはせいぜい3社程度と予想しています。それまでは激戦状態の競争が続き、勝者と敗者がはっきり分かれていくはずです。
私が警戒しているのは、大企業同士の競争激化による総崩れのリスクです。メインプレーヤーが激しくぶつかれば、当然どこかで敗者が出ます。その時、負けた企業が崩れるだけでなく、周辺の大型株まで巻き込んで売られる展開は十分あり得ます。たとえば、ソフトバンクの孫さんのように、何十年もかけて築いた資金を生成AIへ一極集中で投じ、さらに巨額の借り入れまでして勝負に出ている姿は、見ていて正直かなりスリリングです。
先行していたはずのChatGPTでさえ、現状ではGoogleのGeminiに機能面で追い上げられています。もし最終的に競争に敗れれば、巨額投資が一気に重荷へ変わる可能性もあるわけです。
さらに言えば、AIや自動運転の世界でGoogle陣営が持つ優位性は、単なるモデル性能だけではありません。世界規模で蓄積してきた膨大な地図データや現実空間の情報を握っていることが大きいのです。テスラがカメラ中心で周辺を判断するのに対し、Googleは事前に地図情報を取り込んだうえで判断を重ねられる。この情報の厚みは非常に強いと言えます。
AIセクターの投資戦略
ーーAIセクターの投資戦略をどうアップデートされましたか?
AI投資では、主役そのものを追いかけるより、主役を支える側に回った方が勝ちやすいと考えています。相場格言に「ゴールドラッシュでは金を掘るより、リーバイスやツルハシを売れ」という言葉がありますが、まさにあれです。AIという金脈そのものではなく、AIを動かすための電力、冷却、ネットワーク、素材、製造インフラに注目するべきだというのが今の結論です。