純資産1億円を達成した瞬間に本当の闘いが始まる?1億円を10億円に変える税務・負債・時間の「支配術」
東京大学を卒業しながら「新卒ニート」を選び、家賃1万9000円のアパートで月3万5000円の生活を送った男が、純資産10億円を築き上げた。いかにして、その逆転劇は実現したのか。時給1000円の掃除バイトからキャリアをスタートし、不動産鑑定士資格の取得を経て、EYグループ、さらには投資銀行ゴールドマン・サックスのアセットマネジメント部門へと駆け上がった小原正徳氏。2016年の独立後は「不動産アカデミー」を主宰し、延べ500名以上に実践的な投資手法を指導。Amazon不動産投資部門で1位を獲得した著書でも知られる。
本稿では、わらしべ長者的なキャリア戦略で最強の融資属性を手に入れるまでの軌跡から、純資産1億円を最短で突破するポートフォリオロードマップ、プロが独占する「情報の川上」へのアクセス術、そして1億円を10億円に変える税務・負債・時間の支配術まで、ニートから10億円を実現した全知見を余すところなく語っていただいた。全4回の第4回。
みんかぶプレミアム連載「富裕層たちの黄金法則」
目次
5000万円の納税!富裕層への「本当の洗礼」
「資産1億円」という響きには、多くの人が「上がり」のような全能感を抱くかもしれません。しかし現実は残酷です。一生懸命に物件を仕込み、売却して1億円の利益を出しても、日本の税制において個人の不動産の短期譲渡であれば約40%の税率が課される。「4000万円」を納税するための手続きをする瞬間……この手が震えるほどの絶望こそが、富裕層への真の洗礼です。
この痛みが教えてくれるのは、「稼ぐ力だけでは資産は砂の城のように崩れる」という現実です。1億円を10億円に変えるためには、攻めの「加速」と同じくらい、守りの「防衛」としての財務戦略が不可欠です。そのための第一の鍵が、「負債」に対するパラダイムシフトです。多くの日本人は「借金は早く返すべきもの」と考えますが、富裕層の思考は真逆です。いかに効率よく、大量に、長期で借りるかに心血を注ぎます。特にインフレ局面では負債の価値も実質的に目減りするため、「借りている方が勝つ」という逆説的なルールが発動しています。
純資産1億円という種銭があれば、銀行の信用レバレッジを5〜10倍かけることで、5〜10億円規模の資産をコントロールすることが可能になります。この時に重要になるのが「BSの磨き方」です。節税のために利益を圧縮することは規模拡大期には致命的なミスで、銀行が最も重視する「自己資本比率」が10%を割り込むと追加融資の道は閉ざされます。あえて適切に納税し、ピカピカの決算書を作ることが、次の数億円を引き出す最強の招待状になるのです。生命保険の解約返戻金やリセールバリューの高い資産をすべてリストアップして時価評価で金融機関に示すことでも、与信枠は劇的に拡大します。負債を「エネルギー」へ変換できた者だけが、10億円のステージへ進めます。
「1億円の壁」を突破する二刀流と相続の先回り
賢明な富裕層は、「マイクロ法人(資産管理法人)」による手残り最大化の仕組みを構築しています。社長としての役員報酬を、社会保険料と所得税のバランスが最も効率的な「年収2000万円」程度で止め、それ以上の利益は法人に留保して実効税率を抑えながら次の投資原資とする。この「二刀流」が、手残りを最大化するための基本形です。
さらに、法人ならではの経費化スキームを徹底的に使い倒します。「役員社宅制度」を活用すれば、家賃の大部分を法人経費にしつつ個人の所得を低く抑えることが可能です。出張時の「旅費規程」を整備して日当を支給することで、法人からは経費として落とし、個人は非課税で現金を受け取るという合法かつ非常に効果的な節税スキームも存在します。これら一つひとつの積み重ねが、年間数百万円・10年で数千万円という手残りの差となって現れるのです。
10億円を目指す過程で絶対に忘れてはならないのが「相続対策の先回り」です。資産が10億円に達してから相続を考えると、最高55%の税率によって、築いた富の半分以上が次世代に渡る前に霧散します。私がお勧めしているのは、資産を「作る前」に家族(配偶者や子供)を法人の株主として関与させるスキームです。将来10億円に化ける資産の増殖分を最初から家族に帰属させておくことで、評価額がほぼゼロの状態で富を承継できます。お金と税金の盾が整ったならば、次は「時間」という最も貴重な資源を守る番です。