「国債より有利な資産」として株式の価値は保たれる・・・高市内閣の成長戦略で長期投資家がインフレ型の上昇が続く可能性があると見るワケ
本稿で紹介している個別銘柄:キオクシア(285A)、ソフトバンクグループ(9984)、トヨタ(7203)、ソニーグループ(6758)、アドバンテスト(6857)、SCREENホールディングス(7735)
地政学リスクや各国の政策が複雑に絡み合い、ドル円がかつての介入水準である160円台で推移するなど、投資環境はかつてない激動のさなかにあります。
今回、話を伺うのは、10年計画でコツコツ続ける割安成長配当株投資をテーマにした新刊『50万円を10年で1億円にする株式投資』(SBクリエイティブ)を出版した長期投資家・はっしゃんさん。
AI関連銘柄の暴騰が続く中で、これから100倍に化ける銘柄の探し方・考え方などを伺いました。インタビュー連載全2回の最終回。
目次
責任のある積極財政、マーケットに与える影響は?
ーー高市早苗首相は就任以来「責任ある積極財政」と言い続けています。理論株価の観点から見れば、これは企業の価値にどう作用していくと思いますか。
「責任ある積極財政」は円安要因になっているので、企業価値としてはおおむねプラスに働きます。円安が企業価値を押し上げるのは、輸出企業を中心に、海外で得た売り上げや利益が円換算で膨らむからなんですね。ただ、国全体の価値としては、どちらが正しかったのかは10年後、20年後の歴史的な評価を待たないと分かりません。いまだに黒田元総裁の異次元緩和の評価すら定まっていないのが良い例です。デフレ脱却の足がかりになったという見方もあれば、円安と財政膨張の種をまいただけだという批判もあって、まだ決着がついていません。その第二弾をやっているのが高市政権です。
結果は財政以外の要因にも大きく左右されます。たとえば日本が移民国家を目指すのか、それとも出生数を増やす方向に戻すのか。もしかしたら、フィジカルAIで代替するというプランもありえるかもしれません。最近では、安定した皇位継承のための皇室典範の改革といったニュースも出ていますが、突き詰めればこれも少子化問題です。
このような国の根幹に関わる問題と絡んでいるので、短期的な評価は難しいでしょう。ただ現時点で見れば、責任ある積極財政は、明らかに円安要因ですから、時価総額の大きい輸出企業にとってはプラスだと言えます。国や通貨の値段が下がっていくなかで、いわば「国債より有利な資産」として株式の価値は保たれるのです。
通貨の価値が目減りしていく局面では、現金や国債で持つよりも、値上げの恩恵を受けて利益を伸ばせる企業の株を持っていたほうが資産が守られやすいという理屈ですね。
ーー高市首相が掲げた17分野は、すでにかなり上がりきった感があります。理論株価から見ても、もう上がりきっていると思いますか。
戦略17分野に官民370兆円を投資するというニュースが出ていましたね。
・ AI・半導体
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・ マテリアル(重要鉱物・部素材)
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・ 創薬・先端医療
・ 資源・エネルギー安全保障・GX
・ フュージョンエネルギー
・ 防災・国土強靭化
・ 港湾ロジスティックス
・ フードテック
・ コンテンツ(ゲーム・アニメ・音楽等々)
改めて見ると「自動車」が入っていないんですよね。個別なので一概に割高であるとは言えず、実際に業績が良くなっているところも多いという印象ですね。インフレに乗って上がっている銘柄のうち、業績が伴って上がっているものについては妥当な評価です。ただし、上昇しすぎている期待先行カテゴリーもいくつかあります。例えば、宇宙、航空、造船などの分野でトップクラスの三菱重工は、業績は追い風ですが、株価が上昇しすぎている例になります。

一方で、情報通信やサイバーセキュリティ分野で存在感を持つトレンドマイクロをみると、業績こそ堅調に推移しているものの、株価は1年ほど右肩下がりが続いています。これは、アンソロピックが業務自動化AIエージェントを発表したことをきっかけとしてソフトウェア関連株が売られた「SaaSの死」の影響だと考えられます。

要するに、市場期待がマチマチであり、株価だけが先走って業績が伴っていない銘柄もあれば、業績の裏付けがあって上がっている銘柄もある。さらに全く評価されていないものも少なくない。そして、上昇株もインフレが終わらない限りは「上がりきった」わけではないと言えます。客観的に見て、まだまだインフレが進む要素は残っていますから、ここで止まるとは限らないんですね。そうすると企業価値はまだ上がる余地はありますし、株価も理論株価も上がるというインフレ型の上昇が続く可能性も十分にあると見ています。