どこまで株高は続く? 投資歴30年のベテラン投資家が考えるインフレ時代に勝ち抜く方法と注目銘柄
本稿で紹介している個別銘柄:エスペック(6859)、リオン(6823)、東京製綱(5981)
インフレの常態化、生成AI銘柄の厳格な選別、そして高市政権の積極財政がもたらす円安リスク…。
デフレ脳からのアップデートを迫られる中、投資歴30年のベテラン投資家・名古屋の長期投資家ことなごちょうさんは、いかにして自分の資産を守り、育てているのでしょうか。
なごちょうさんが今注目している銘柄3選などを教えてもらいました。インタビュー連載全3回の最終回。
目次
高値圏でも生き抜く方法
ーーこのボラタイルな相場はいつまで続くと思いますか?
そもそも、今の相場のボラティリティが本当に高いのかどうか、一度立ち止まって考える必要があるでしょう。「日経平均が700円動いた」と聞くと、感覚的にはかなりの急落に思えます。しかし、現在の水準で言えばわずか1パーセントの変動にすぎません。
日経平均が1万円台だった時代は、500円下がれば3パーセント超の急落でした。今は同じ500円でも1パーセント以下。金額の絶対値は大きく見えても、指数の水準が上がった分、1円の持つ意味合いが変わっているのです。ゴールデンウィークの連休明けに3300円上昇した日も、率に直せば5.58パーセント。かつての1万円時代の5パーセント超の動きと比較すれば、決して異常な値動きとは言えません。要するに、私たちの感覚が古い水準に引きずられているのです。
キオクシアが1,350円下げた日も、下落率は1.77パーセントでした。金額ではなく騰落率で相場を見る癖こそ、現在の高値圏で投資を生き抜くために不可欠な感覚だと考えています。
日経平均株価は10万円を目指すのか
ーー日本株が7万円を超え、10万円を目指す展開になるでしょうか?
到達する時期までは分かりませんが、方向性としては十分あり得ると思っています。インフレ環境では、あらゆる資産や商品の名目価格が上昇していきます。株価も例外ではありません。実際、現在の日経平均が6万4000円台にあるというだけでも、デフレ時代の感覚からすれば相当高い水準です。当時の常識ではなかなか想像できなかった世界だと思います。
興味深いのは、最近になって「日本株は暴落しない」という一種の信仰のようなものが市場参加者の間に生まれ始めていることです。もちろん、急落がなくなったわけではありません。令和のブラックマンデー(2024年8月)では、3営業日で7000円近く下落しましたし、2025年のトランプ関税ショックでも5営業日で5000円ほど下げました。それでも、リーマン・ショック(2008年)のように1年以上にわたって下落が続くような相場は、現時点ではなかなか想定しにくいと思っています。
リーマン・ショック当時は、世界の色んな国で経営危機が囁かれたり、実際に金融機関が破綻しながら連鎖的に信用不安が広がっていきました。最後はヘッジファンドの顧客による換金売りが殺到して、市場全体が崩れていったわけです。
一方、現在は、銀行の規制も格段に厳しくなっています。だからこそ、次に本当に警戒すべきなのは金融危機そのものではなく、むしろ国家財政の問題ではないかと考えています。
その意味で気になっているのが日本国債の金利上昇です。10年国債利回りはすでに2.7%近辺まで上昇しており、これは数十年ぶりの水準です。もし将来的に日本の長期金利が米国の長期金利を上回るような事態になれば、話はまったく別の局面に入ります。
今はまだそこまでの状況ではありません。ただ、この数年で円安への危機感を口にする人が急増したのは事実ですし、その不安にも一定の根拠はあると思っています。通貨への信頼というのは、失われるときは想像以上に速いため、市場参加者が「大丈夫だろう」と思っている間に変化します。だからこそ私は、株価以上に国債金利や通貨への信認の変化を注視しています。