インスタフォロワー15万人でも「いつかSNSをやめたい」AIに飲まれる発信者と生き残る発信者の決定的な差

いくらお金を積まれても、受けない仕事がある——フリーランスとして複数の収入源を確保した読書系インフルエンサー・土肥優扶馬氏は、仕事を選ぶ基準をそう語る。AIが情報発信を飲み込んでいく時代に、何を学び、どう生き残るのか。そして上司も同僚もいない環境で、どのように日々を組み立て、何を見据えているのか。全3回の第3回
みんかぶプレミアム連載「フリーランスの稼ぎ方大全」
目次
お金より優先する、仕事を選ぶ基準
独立後、依頼が増えていくなかで、土肥氏には仕事を受けるかどうかを判断する明確な基準がある。
「価値観に合うかどうかだけは、確実に見るようにしています。いただくお金がどれだけ良くても、自分の信用を失うような仕事はしたくないんです」
この基準は両方向に働く。条件が良くても価値観に合わない仕事は受けない一方で、価値観に強く合致する場合には、対価を度外視して取り組むこともあるという。実際、書店とのコラボレーションで立ち上げた無料の読書コミュニティのように、収益を目的としない活動にも力を入れている。
また、発信のスタイルについても、本人は権威性を避け、等身大であることを意識しているという。
「フォロワーさんが多いと、周りから権威性を持たれそうなイメージがあるんですけど、そのような売り方はしたくなくて。単純に本が好きな1人の人間です、というスタンスでやっています」
本の情報そのものはどの発信者から得ても変わらないが、「誰が紹介しているか」という部分には大きな違いが生まれる。土肥氏のもとには「あなたが紹介していたから買った」という反応が実際に届いているという。情報の内容ではなく、これまで積み重ねてきた発信者自身に対する信頼が、購買行動を動かしていることを示す具体例だ。
AIに飲まれない発信者になるために、必要なこと
土肥氏は、AIの進化が情報発信の世界に与える影響について、明確な見立てを持っている。
「AIのコミュニティに入って学んだりもしているんですけど、情報そのものはもうAIに飲まれていくと思うんです。だから、誰が伝えるかが大事になる。『この人が書いた絵だから買った』『この人が紹介する本だから買った』、そう言われる人材になる必要があるんです。いろいろ学びながら、これは自分には必要ないなって割り切ることも大事で。自分が経験したことをまとめられる力が、今は必要だと思っています」
情報の正確さや網羅性で差別化を図るのではなく、誰がその情報を発信しているかという属人的な信頼関係を軸に、発信活動の価値を維持しようとする方向性だ。
これからフリーランスとして発信を始めたい人に向けては、最初からお金を目的に動かない方がいいとアドバイスを送る。
「自分が何を届けたいのかを明確にすることが大切だと思います。これをすればマネタイズできる、という発想から入ると、最初からお金を目的に動いてしまって、うまくいきにくい。自分が誰に向けて発信をするのか、どんな悩みを解決したいのか、そもそも自分には何を伝えられる力があるのか。そこを考えるのが大事だと思います。あとは、それを何百投稿も続けられるかな、という未来性を考えた方がいいですね。300投稿できそうだなと思えたら、やればいいと思います」
土肥氏自身、発信開始から収益化までに2〜3年を要した経験を持つ。マネタイズの仕組みを先に設計するのではなく、継続可能な発信の軸を先に固めることが、結果的に持続的な収益構造を作る土台になるという実体験に基づいた助言だ。