もうブームは去った? キオクシアどうなる? 投資歴10年超の兼業投資家が教える「決算前の売り」判断
本稿で紹介している個別銘柄:ブロードエンタープライズ(4415)、サンワテクノス(8137)、アシックス(7936)
「この企業は本当に伸びるのか」。その疑問が調べてもクリアにならなければ買わないという、小型グロース株を主戦場に投資歴11年、株式勉強会の主宰者としても知られる個人投資家・キリンさん。
3年前に出会った“ある銘柄”について、当時は懐疑的に見て買わなかったものの、最近やっと成長を感じて自分のポートフォリオに組み込んだと言います。
いま注目する3銘柄と、買う前に何を確かめるのかを尋ねました。インタビュー連載全3回の最終回。
キオクシアとの向き合い方
ーー今年の上半期はキオクシアの上昇に乗っていたとおっしゃっていましたが、決算をどう受け止めましたか。
すさまじい数字でした。増益率があまりに大きすぎて、決算短信の前期比を示す欄が、数字ではなく横棒になっていたくらいです。ただ、株価のほうは高値で買った人の含み損が上値を抑える、いわゆるしこりができている状態なので、ここからは難しいところですが、それでも第2四半期以降の数字は楽しみにしています。
ーーしこりができている、というのは、前の水準にはなかなか戻らないという意味ですか。
ブームが去った気がするので、キオクシアが高値を取りに行くのは日経平均が7万円に戻るより難しいのではないでしょうか。数字は一見良かったものの、それがこの先どこまで続くのかを皆が意識している状況かなと思います。
結局は数量×単価ですから、中国製の製品が出てくるといった話が重なれば、数量面と単価面の両方を食われることがあってもおかしくありません。今のすさまじい伸びが長期的には持続可能なものではないだろうと考えると、現在のPERが妥当、あるいは割高だという説もあり得ます。その意味で、キオクシアの決算をまたぐのは結構怖いと思っていて、どこかで売るかもしれません。
決算前に手放す理由
ーーでは、決算前に売るかどうかは何を見て判断するのですか。
判断材料は、そのときのポートフォリオ全体の余裕度だけです。食らっても「まあいいか」と思えるかどうかですね。「今これはしんどいな」と感じたら、多分持ちきれないと思います。本当は個別銘柄ごとの判断をすべきなのですが、いろいろなバッターで打順を組んでいるので、調子の悪い選手がいてもチームが勝てるかどうかで判断すれば良いと思い、投資と向き合っています。
あまりにも余裕がないと感じたときは、決算前に売って、決算を見て買い戻せば良いのです。キオクシアは今持っている分を売るとしたら、買い戻す可能性はありますが、買い増しまではしないと思います。
分割前の今は1単元で500万円~600万円なので、気軽にポンと買い増せる金額ではありません。成功している投資家の方には安い水準なのかもしれませんが、自分にとっては安くないです。本当に安くないです。
ーー前回、「株式分割はしてほしくない」とおっしゃっていましたが、実際に分割が決まっていかがですか。
そもそも6桁の株価回復が夢のまた夢という状態なので、さっさと分割でも何でもして、買いやすくしてもらえば良いのではないでしょうか。あれだけ「分割反対」と言っていたのに、気持ちはすっかり変わりました。