好業績なのに、なぜ株価は放置されてしまうのか…プロが「2〜3割安く評価する株」の共通点と、次の投資機会とは?
業績は伸びている。利益に対して株価も割安に見える。それなのに、なかなか買い手が現れない…。個別株を調べる投資家なら、一度はぶつかる疑問ではないだろうか。
「良い会社なのだから、いつか評価されるはず」。そう待ち続ける前に、知っておきたいことがある。プロは企業の業績だけでなく、別の条件も織り込んで株価を評価しているのだ。国内IPO・グロース株のスペシャリスト、fundnoteのファンドマネージャー・川合直也氏に、企業を見る視点と、次の投資機会の探し方を聞いた。
(取材・文:ちょる子 取材日:2026年9月27日)
みんかぶプレミアム連載「fundnote 川合・神谷の目」
「業績予想がすべて」プロが買いたくなる企業、買えない企業
川合氏の企業分析の軸は、一貫している。
「業績予想がすべてだと思っている。僕はその流派なんです」
発表された数字を確認するだけでなく、次の決算をどれだけ見通せるか。機関投資家に買ってほしいと考える企業にとっても、この違いは大きい。
川合氏が発行体に問いかけるのは、ファンドマネージャーが業績を予想できるだけの情報を開示しているか、という点だ。決算を外したくない運用者が、判断に自信を持てる材料があるのか。そこが不足していれば、面談の機会を設けても投資には結びつきにくい。
取材では、川合氏自身がどのように業績を分析しているかを企業側に示し、予想に必要な情報を伝えることもあるという。IRの役割を「会社を知ってもらう」で終わらせず、「投資家が業績を検証できる状態をつくる」と捉えている。情報の量だけでなく、判断に使える内容かどうかが問われているのである。
これは、個人投資家にも役立つ視点である。会社側が示す大きな成長ストーリーだけでなく、売上や利益が伸びる理由を、手元の情報で具体的に追えるか。説明会の印象の良さと、業績の見通しやすさは、同じではないのだ。
1日約40件のニュース記事を保存、AIと対話…プロの情報収集はここまで進んでいる
企業分析を支える情報収集にも、川合氏ならではの工夫がある。主要な経済ニュースサイトの見出しとURLを集める、自分専用のウェブアプリをAIを使って作ったという。
どこまで読んだかを端末をまたいで確認でき、気になる記事は保存する。クリップするのは1日およそ40件。その内容をAIにも読ませ、当日の対応を考えるための対話に使っている。
同じ出来事でも、ブルームバーグ、日経、ロイターで伝える情報やタイミングが異なることがある。一つの記事を読んで分かったつもりになるのではなく、複数の報道から材料を確かめるのだ。
そして、集めた情報は株価や為替の動きと結び付ける。
「どのニュースでどういう反応をしたか、というのが一番大事じゃないですか」
記事を何本読んだかよりも、材料と市場の反応をどう理解したか。そこまで確認して、初めて情報が投資判断に変わる。
情報収集の仕組みも、単なる時短ではない。川合氏は、未読の記事があるとアラートが出るような画面を設計し、自分の読み漏らしを減らしたという。分析力を毎日の集中力だけに頼らず、確認を続けられる仕組みに落とし込む。そこにも、個人投資家が参考にできる工夫がある。