「チキンレース」は承知の上。それでも半導体株に乗る理由…fundnote川合直也氏が語る強気の根拠と撤退の条件
中銀ウィークも落ち着きあく抜けし、ここ数か月落ち着いていた半導体関連株への見直し買いが再開し、9月の中旬からわずか2週間で日経平均は5000円押し上がった。株価が上がれば、もう一段の上昇を期待したくなる。だが、その強さに乗りながら、むしろ警戒を強めているプロもいる。好調な企業のニュースを追いかけるだけでは見えない、相場の弱点とは何なのか。
「AI・半導体に強気に転じて良い相場環境だと思う。でも何かあったら怖いので、とにかくニュースを集め続ける」。そう語るのは、fundnoteのファンドマネージャー・川合直也氏だ。強気一辺倒でも、すべてを売って逃げるわけでもない。上昇余地を探しながら、前提が崩れる瞬間に備える。その判断の裏側と、実際の銘柄選びを聞いた。(取材・文:ちょる子 取材日:2026年9月27日)
みんかぶプレミアム連載「fundnote 川合・神谷の目」
株が下がらないから安心?プロが金利ニュースに張り付く理由
最近、何に最も時間を使っているのか。川合氏の答えは明快だった。
「ずっと金利のニュースを見ています。各国の金融政策がどうなっていくのか、市場の長期金利がどうなっているのか。そればかりに時間を使っていますね」
通常、金利の上昇は企業の資金調達コストを押し上げる。将来の利益を現在の価値に引き直す際にも影響するため、株式の評価には逆風となり得る。それでも株価が大きく崩れない場面を、川合氏は単純な安心材料とは受け取っていない。
ここで押さえたいのは、金利を一つの数字として扱わないことだ。川合氏は、政策の影響を受ける短期金利と、インフレや財政への懸念などでも動く長期金利を分けて説明する。両者が同じ方向に動くとは限らない。利下げのニュースだけで安心せず、企業の資金調達に関わる長い期間の金利がどう動くかまで見る必要がある。
金利という負担が増しているのに、株式市場はリスクを取り続けている。その状態が続くのか、それともどこかで無理が表面化するのか。川合氏が見ているのは、この綱引きだ。株が下がらないことと、問題がないことは、必ずしも同じではない。
好業績でも油断できない…成長シナリオを揺るがす「お金の問題」
背景にあるのが、巨額の設備投資を支える資金調達だ。AIのエコシステムが成長し続けるには大きな投資が必要であり、その原資を借り入れや社債、株式の発行で確保しなければならない。
川合氏が一つの構図として挙げるのは、社債と国債の間で起きる資金の移動である。債券を運用する投資家が社債を買うために国債を売れば、国債価格には下押し圧力がかかり、利回りの上昇につながり得る。企業の旺盛な資金需要を、株式市場の外側から点検しているのだ。
企業にとって借り入れや社債発行による負債調達は、株式発行による持ち分の希薄化を避けながら資金を得る手段になる。ただし、金利が上がり続ければ、その調達自体が難しくなる可能性もある。事業の将来性がどれほど魅力的でも、必要なお金が回らなければ、成長計画は進められない。
この視点に立つと、決算と金利のニュースは一本の線でつながる。今日発表された利益が好調でも、明日の投資を支える資金の条件が悪化すれば、成長の見通しは変わり得る。企業が何に投資するのかに加え、それを継続できる財務上の条件まで確かめることが、川合氏のいう警戒の中身なのだ。
だからこそ、企業の好材料と資金調達環境を切り離して見ることはできない。川合氏の慎重さは、上昇相場を否定するためではなく、そこに参加し続けるための確認作業なのである。
では、この環境でも資金を置けるのは、どのような企業なのか。同じ人気テーマの中にも、川合氏が投資判断を分ける明確な違いがある。実際に利益を得た銘柄を交え、その選別のポイントを聞いた。