好決算でも半導体株が売られるのはなぜか…プロが「業績より株価の反応」を見る理由と、次の分岐点
日経平均が短期間で大きく上昇した後、一転して値を崩し、半導体関連株にも売りが広がった。好決算を発表した企業まで下がる相場を前に、「業績は良いのに、なぜ売られるのか」と戸惑った投資家も多いだろう。
「業績がいいから買い、ではないんですよ。業績が伸びているから買いなら、誰でもできる」
そう語るのは、fundnoteのファンドマネージャー・川合直也氏だ。川合氏が重視するのは、ニュースの内容そのもの以上に、その材料を受けて株価がどう反応したか。好材料でも下がる相場では何を見て、どこで再び買いを考えるのか。急落した半導体相場の現在地と、個人投資家が持つべき撤退条件を聞いた。
(取材・文:ちょる子 取材日:2026年10月23日)
みんかぶプレミアム連載「fundnote 川合・神谷の目」
「業績が良い」より重要な、ニュース後の株価反応
川合氏によれば、10月前半以降の半導体株は「良いニュースが出ても下がり、悪いニュースにはきちんと下がる」局面だった。企業の業績が数年先まで伸びる可能性はもちろん重要だ。しかし、その期待がすでに株価へ織り込まれていれば、好材料が新たな買い手を呼び込むとは限らない。
反対に、悪材料が出ても下がらなくなれば、市場の空気が変わった可能性がある。低価格のAIモデルを巡るニュースの後に半導体株が大きく崩れなかった場面では、川合氏も「反応が逆転しかけた」と感じたという。ところが、その後はCoreWeave(コアウィーブ)をはじめとするネオクラウド企業への信用不安が意識され、株価は再び一段安となった。
ここで大切なのは、「好決算なのに下がった」という一回の動きだけで売買を決めないことだ。川合氏は、個別株は比較的少ない参加者の売買でも動きやすい一方、指数やセクター全体の反応には、より広い投資家の判断が表れやすいと説明する。ニュースの良し悪しを判定するだけでなく、市場が何を重く見ているのかを、値動きから読み取るのである。
ネオクラウド問題は「リーマン型」なのか
AI向け計算資源を提供するネオクラウド企業は、大規模な設備投資を社債などの負債で賄うケースがある。返済不安が強まれば、株主や債権者が損失を抱える可能性はある。では、それが金融システム全体を揺らす信用危機につながるのだろうか。
川合氏は、現時点ではリーマン・ショック型の大型の金融危機にはなりにくいと見る。借り入れで整備した計算資源自体は、AI需要が続けば収益を生み得る資産だからだ。仮に資金調達が行き詰まっても、巨大IT企業などが事業や資産を引き受け、計算資源の稼働が続く可能性があるという。
ただし、これは「誰も損をしない」という意味ではない。ネオクラウド企業の既存株主・債権者や、周辺のプライベートクレジットには痛みが及び得る。さらに、OpenAIやOracle、ソフトバンクグループなど、AIインフラ投資で関係する企業群にも、資金調達コストや投資計画を通じて影響が波及する可能性がある。金融危機にならないという見方と、個別企業が無傷であることは分けて考える必要がある。