都心マンション上昇率「40%→6.1%」 急失速の衝撃…3000万円控除を悪用した「転売バブル」崩壊の足音
マンション価格の高騰が続くなか、その裏で暗躍するのが「即転売ヤー」や「リノベ転売ヤー」と呼ばれる存在だ。新築の権利売買や「自宅」偽装による節税、さらには新築そっくりに見せかけた中古の再販など、あの手この手で利益を貪ってきた。しかし、都心6区の中古価格上昇率が急失速し、その「転売ゲーム」もいよいよ終わりの時を迎えつつある。不動産プロデューサーの牧野知弘氏が、過熱するマンション転売の実態と宴の果てを浮き彫りにする。
みんかぶプレミアム連載「牧野知弘 不動産を斬る!」
マンション高騰の裏に潜む存在 「買ってすぐ売る」ビジネスが成立する市場の異常
最近のマンションマーケット高騰の影には転売ヤーの存在があると言われています。読んで字のごとく、マンションを「買って」すぐに「売る」人たちのことを指します。本来、物件の売買はその時点での適正価格で行われるはずのものです。しかし「ヤー」と言われるようにこれがビジネスのひとつのように扱われているということは、転売が十分可能なマーケット環境が整っている(整っていた)ということです。マンション転売ヤーの実態をみてみましょう。
まず転売ヤーには大きくいって2種類の転売ヤーがいることをご存知でしょうか。「即転売ヤー」と「リノベ転売ヤー」です。
即転売ヤーはまさに買ってすぐに転売する人たちです。そんなことが成り立つのでしょうか。人気の新築マンションでは販売にあたって高い倍率がつきます。その抽選に勝ち抜いた人が取得した後、実際に住むことなくこの部屋を買いたい人に高値で売却するのです。
不動産売買には仲介手数料や税金など諸費用がかかりますから取得価格よりかなり高く売れないと期待したほどの利益が出ません。マーケットで横行したのが新築物件の引渡し前に、購入した権利を売買するものでした。権利売買なら手数料や取得に関わる諸税がかからないからです。特に相場よりも安く売られたマンションなどでこの行為が横行しています。
購入価格の3割増しでも買手がつく 価格高騰が加速させるマンション転売
さすがに分譲事業者側では最近、引渡し前の権利売買が発覚した場合には手付金を違約金として没収するなどの自前ルールを構築し始めています。いっぽうで物件引き渡し後でも引き渡し日当日から大量の売り住戸が仲介サイトに登場する事例も後を絶ちません。マンションマーケットが急上昇を続ける間は、購入価格の2割、3割増しであっても買いたい人がたくさんいるからです。
もうひとつが不動産業者でタワマンなどの大型物件をデベロッパーから10数戸まとめ買いし、これを自社の顧客に転売するものです。デベロッパーにとっても、1戸1戸を個別の顧客に販売するのは、骨が折れるものです。タワマンになると数百戸から千戸を超えるものまであります。こうした大型物件は複数期に分けて販売するケースが多いのですが、たとえば第1期などの早い段階ではそのほとんどを業者に卸売りすることで「即日完売!」と銘打つことができ、販売が順調であることをマーケットに印象付けることができます。業者にとっても手軽に確実に稼げるのが「即転売」なのです。