ちゃんぽん1000円超でもリンガーハット「41%増益」の衝撃…売上10%増のココイチが減益に沈んだ「コストの罠」

ココイチのロースカツカレーが1,055円、リンガーハットの野菜たっぷりちゃんぽんが1,030円と、外食の定番メニューが相次いで「1,000円の壁」を超えた。しかし、同じ値上げでありながら、直近の決算ではココイチ(壱番屋)が17.2%の減益、リンガーハットが41.6%の増益と、その暗雲と明暗はくっきりと分かれている。客の財布のひもが固くなるなか、なぜこれほどの差がついたのか。元プレジデント編集長で作家の小倉健一氏が、両社の決算書から「値上げの壁」を突破できた理由を読み解く。
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1,000円超でも分かれた決算 ココイチ「17%減益」とリンガーハット「41%増益」の明暗
ココイチのロースカツカレーは、2026年10月時点の公式サイトの表示で税込1,055円。リンガーハットの野菜たっぷりちゃんぽんは、標準価格で1,030円だ。どちらも1皿で1,000円を超える。サイドメニューを足さなくてもこの値段なのだから、以前より財布のひもが固くなるのは自然のことだろう。
ところが、客が支払う金額の上昇と、店を運営する会社の利益は同じようには動いていない。2026年3~8月期の営業利益(本業の利益)は、ココイチを運営する壱番屋が前年同期比17.2%減、リンガーハットが41.6%増だった。同じ値上げでも、リンガーハットは費用の増加を抑えて利益を伸ばし、壱番屋は増えた費用を吸収しきれなかった。
この決算で目を引くのは、売上の伸びなら壱番屋の方が大きいことだ。壱番屋の売上高は10.0%増、リンガーハットは4.1%増。「よく売れた方が、より多く稼いだ」という話なら、結果は逆になる。値上げによって売上が膨らむ時期には、その伸びだけで会社の調子を判断すると見誤る。
標準ライス300gのココイチを直撃した米高騰 トッピングの工夫を打ち消す仕入価格の壁
壱番屋の国内ココイチでは、3~8月の既存店の客数は前年並みだった。同じ店を前年と比べると、客1人当たりの支払額が2.5%上がり、売上も2.4%増えた。期間限定の商品やコラボ商品などが、客単価の上昇を支えたという。客が大きく増えなくても、注文の金額を引き上げて売上を伸ばしていたわけだ。
壱番屋は、客数をほぼ維持し、客単価も上げたうえで減益になった。値上げ後に客が来てくれることは、利益を守るための出発点にすぎない。実際に食材を仕入れ、料理を出し、店を動かすところまで含めて費用を賄えているか。壱番屋の場合、その負担が販売の伸びを上回っていた。
会社が減益の理由に挙げたのは、米などの仕入価格と物流費の上昇だった。ココイチは標準のライスが300gで、米は毎日の商売に欠かせない。肉や野菜のトッピングを工夫して売上を増やしても、その土台となる米の仕入れが高くなれば、利益を削られる。さらに食材を店へ運ぶ費用も上がった。
決算書では、その圧迫が具体的に分かる。売上から食材などの原価を引いた「売上総利益」は、前年同期より約14億円増えた。ところが、そこから差し引く人件費や物流費などの販売・管理費は約18億円増え、営業利益は約4億円減った。食材を仕入れて売る段階で増やした利益を、会社を動かす費用の増加が上回った。