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「材料費はほぼ2倍に」中東情勢の悪化が自動車鈑金塗装業界に与えた深刻な打撃

「材料費はほぼ2倍に」中東情勢の悪化が自動車鈑金塗装業界に与えた深刻な打撃

 2026年2月下旬から中東情勢の悪化により、未曾有の資材不足が発生し、建設業界や食品業界などが大打撃を受けていることが連日報じられている。しかし、メディアで取り上げられる機会こそ少ないが、自動車業界も例外ではない。とりわけ、自動車の補修や整備に使用する材料はナフサ由来のものが多く、自動車整備を営む企業は営業それ自体が難しい状況にある。大阪府豊中市で自動車の修理・塗装や整備を手がける株式会社BICで代表取締役を務め、登録者16万人以上のYouTubeチャンネル「BICチャンネル(BEEFITCARS)」を運営し、日々自動車業界のリアルを発信している細田宗範氏に、中東情勢の悪化が与えたダメージなどについて話を聞いた。(聞き手・望月悠木)

目次

末端にしわ寄せがいく構造

――中東情勢の悪化による影響はどの程度ありましたか。

 中東情勢が悪化した結果、材料不足が起き、材料費はおよそ2倍に膨れ上がりました。修理費用の請求額のうち、材料費が占める割合は普段なら3割ほどが目安なのですが、現場でできる限り節約の工夫をしても、その割合が4割近くにまで膨れ上がった感覚です。

 もともと、人件費の上昇に加え、2022年に起きたロシアのウクライナ侵攻に伴いエネルギー価格や材料費も高騰しており、苦しい状況が続いていました。そんな中で、今回の事態が起きたため、本当にしんどいです。

――具体的にはどのような材料が不足したのですか。

 一番深刻だったのはシンナーかなと。塗料を薄めたり、スプレーガンを洗浄したりするのに欠かせない溶剤で、ナフサ由来の石油製品です。それ以外にも、接着剤や養生用のテープなど、板金塗装に欠かせない消耗品の多くが同じようにナフサからできています。

 今回改めて自分の会社を見渡してみると、100%近くをナフサ由来の石油製品に頼って仕事をしていたことに気づかされました。港に運ばれてきた原油がタンクに貯められ、それを加工する工場で塗料や溶剤に姿を変え、そこから全国の販売店を経て、私たちの手元に届く。この一連の流れのどこか一箇所でも滞ってしまえば、一番末端にいる私たちが真っ先にそのしわ寄せを受ける仕組みなのだと痛感しました。

――実際に営業するうえでの影響はありましたか。

 自社で保有する在庫が尽きるまでの猶予は、よくても1カ月ほどでした。幸い、仕入れ先の販売店がメーカーに掛け合い、優先的に供給してくれたおかげで営業停止は免れました。ただ、規模の小さい同業者はそこまで優遇されず、廃業に追い込まれるケースも珍しくなかったです。

 また、国土交通省や経済産業省に自動車業界の実情を伝えるため、うちのYouTubeチャンネル内で全国の同業者に呼びかけ、アンケート調査を以前実施しました。400件の回答が寄せられ、中には「材料をすべて他社に押さえられて仕事ができなくなった」といった声もあり、窮地に追い込まれている事業者は少なくないです。

――現在も資材不足は続いているのですか。

 一応、5月ごろからは仕入れが徐々に回復しており、現在はほぼ入手できない資材はなくなりました。ただ、値段は元には戻っていません。輸送コストなどの上昇も歯止めがかからず、今後供給が正常化したとしても、価格が以前の水準まで下がることはないと感じています。「材料をすべて他社に押さえられて」という理由で廃業するケースは減るとは思っていますが、コスト増によって廃業を選択する事業者も増えていくかもしれません。

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この記事の著者
細田宗範

細田 宗範(ほそだ むねのり)。1982年生まれ、大阪府吹田市出身。株式会社BIC 創業者。16歳で夜間学校に通いながら自動車整備工場に勤務し、その後、鈑金塗装(車の傷や凹みの修理)の道へ進む。4年間の下積みを経て、24歳(2006年)で株式会社BICを創業。2022年より、会社を挙げてYouTubeでの動画配信をスタート。これまで不透明だった鈑金塗装の「リアルな作業工程」や「職人の素性」を日本で初めてフルオープン(見える化)にする。この取り組みがお客様からの絶大な信用と安心に繋がり、わずか3年でチャンネル登録者数は16万人を突破。現在ではYouTube経由での事故修理依頼が月間100件にのぼり、都心部のディーラーを凌ぐ圧倒的な入庫数を集めている。

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