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転売ヤーがコメでボロ儲けしている…価格高騰を放置し続けた石破政権の失態!経済アナリスト「備蓄米の効果、限定・一時的の可能性」

(c) AdobeStock

 1年前から2倍近くにまで高騰し、もはや「庶民食」とも言えないコメ。10キロで8000円超という高止まりの背景には「転売ヤー」の存在が指摘され、政府による備蓄米の放出で価格が落ち着くとのアナウンスがなされている。だが、経済アナリストの佐藤健太氏は懐疑的だ。その理由を「石破茂政権は対応に失敗したことを認めたくないためにウソをついている。『令和のコメ騒動』はまだ終わらない」と喝破する。一体、日本人が主食を取り戻せるのはいつになるのか―。

目次

コメ価格の高騰を放置し続けた石破政権

「コメ流通の目詰まりが解消し、上昇した価格が落ち着くことを期待している」。石破首相は2月14日の衆院本会議で、この日発表した備蓄米21万トンの放出によってコメ価格が値下がりに転じることに自信を見せた。農林水産省は3月上旬に入札を実施し、落札した集荷業者を通じて3月下旬以降には小売店などで販売されるスケジュールを描く。

 だが、農水省が2月18日発表したスーパーで販売されたコメ5キロあたりの平均価格は、前週よりも高い水準で推移し、3829円(全国、2月3~9日)だった。これは前年同期に比べて89.7%も高い。販売価格の推移を見ると、昨年3~6月は5キロが2000円超だったが、台風や地震などによる買い込む需要が発生し、同8月は2600円、同9月は3000円と著しく上昇してきたことがわかる。昨年夏は「令和のコメ騒動」といわれるほどコメの流通量が不足し、品薄状態が続いた。

 この時、政府は「新米が順次供給され、円滑なコメの流通が進めば、需給バランスの中で一定の価格水準に落ち着いていく」と説明していたのだが、新米流通後も価格高止まりは解消しなかったどころか、さらに上昇した。総務省が公表している小売物価統計によると、東京都区部では今年1月にコシヒカリ(5キロあたり)が対年同月比71.5%増の4185円となった。1年前の2024年2月は「コシヒカリ」2441円、「コシヒカリ以外」2300円で、あまりの高さに輸入米を購入する人の姿もみられるほどだ。

 石破首相はコメ価格について「高いですね。倍とは言わないが、5割は上がったという実感は持っている。実際、スーパーに行くとコメそのものがないということもあるので、消費者にとって極めて深刻であるという認識は共有している」との認識を示す。ただ、コメ価格の高騰を放置し続けた石破政権に対する国民の視線は冷たい。

江藤農水相「どのように市場に影響を与えるか、これは読みようがありません」

 玄米60キロあたりの価格指数は2万6260円(2月18日)に上昇し、「平成のコメ騒動」(1993年の大凶作)時の2万3607円を超えて過去最高値を記録した。日経新聞とテレビ東京が2月21~23日実施した世論調査によれば、政府の備蓄米放出の時期が「遅すぎる」と回答した人は63%に上り、「適切だ」との答えは19%にとどまっている。

 コメ価格上昇の要因には「転売ヤー」の存在も指摘されている。コメは生産者からJAなどの集荷業者が買い、卸売・小売業者を通じて消費者に流れるのが一般的だ。だが、最近はJAを介さずに生産者が直接販売したり、高値で売ることができるタイミングを見定めたりする業者も存在する。ネット直販の普及に加え、新規参入者などがJAよりも高価格で生産者から買い取るなど流通経路の多様化は進む。

 2024年産米の生産量は679万トンと前年産より約18万トン増加している。一方、集荷量は前年比で約21万トン少なかった。江藤拓農水相は2月12日の会見で「生産者は需給に十分見合うだけの生産をしたが、集荷業者に集まらない。流通を円滑化するため備蓄米の放出を行う」と強調し、「政府から放出される分に加えて、民間のどこかにあると言われる21万トンがどのようなタイミングで、どのように市場に影響を与えるか、これは読みようがありません」と説明する。

備蓄米、一時的・限定的な効果しか出現しないのではないか

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この記事の著者
佐藤健太

ライフプランのFP相談サービス『マネーセージ』(https://moneysage.jp)執行役員(CMO)。心理カウンセラー・デジタル×教育アナリスト。社会問題から政治・経済まで幅広いテーマでソーシャルリスニングも用いた分析を行い、各種コンサルティングも担う。様々なメディアでコラムニストとしても活躍している

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