田端信太郎が語るAI時代のサラリーマン生存戦略「飲み会くらいしか人間には残らない」転職市場で勝ち抜くためのたった1つの習慣とは

リクルート、LINE、ZOZO──。日本を代表する企業で要職を歴任し、常にビジネスの最前線を走り続けてきた田端信太郎氏。現在はアクティビスト個人投資家として新たな舞台でその手腕を発揮している田端氏に、転職を成功させるための極意から、独自の視点で企業価値を見抜く「田端流投資論」の本質まで、その思考の神髄を伺った。短期連載全3回の第1回。
目次
飲み会しか人間に価値は残らない? AI時代のサラリーマン生存戦略
――田端さんはかつて「スーパーサラリーマン」として知られていましたが、昨今の労働環境、特にコロナ禍を経て働き方が大きく変わる中で、日本のサラリーマンの状況について思うことはありますか?
もう人工知能、AIがこれだけ進んでくると、はっきり言ってデスクワークで人間に勝ち目はないですよ。だから、これからはリモートワークとかそういう話じゃなくて、対面で会ったり、飲み会でも麻雀でもフットサルでもサウナでも何でもいいんだけど、そういうウェットなコミュニケーションにこそ価値が残るんじゃないですかね。
――ウェットなコミュニケーション、飲み会くらいしか人間に残るものはない、と。
そう。飲み会くらいしか、人間に残る仕事はないんじゃないかと思ってますよ。だって、ChatGPTとお酒は飲めないでしょ?
田端信太郎「退職代行を使うのはヘタレ」
――最近は「退職代行サービス」が流行っています。これについてはどうお考えですか? 経営者層からは非常にイメージが悪いようですが、なぜなんでしょうか。
なんでイメージが悪いのか? 結局、経営者側の自己嫌悪なんだと思いますよ。「なんでこんな、退職の連絡すら自分でできないヘタレで無能なやつを雇ってしまったんだろう」っていう、自分に対する嫌悪感。
――退職代行を使うことは「ヘタレ」だと、かなり手厳しいですね。
だって、おかしいでしょ。日本の法律上、退職する労働者ってほぼ無敵の強者なんです。それなのに、なんで連絡一本すらできないのか。辞めるって言ったら家に押しかけられて、昔の金八先生みたいに鎖に繋がれるわけでもあるまいし。なぜできないのか、さっぱりわからない。
退職代行は「無知につけこんだビジネス」
――「ブラック企業だから辞めにくい」という反論もありそうですが。
いやいや、辞めるか辞めないかっていうのは、会社の許可を得るものじゃなくて、一方的な通知で成立するんですよ。労働者には「退職の自由」が保障されている。だから、そもそも「会社と合意しないと辞められない」と思い込んでいる、その無知につけこんだビジネスですよね、退職代行っていうのは。数万円取っているわけでしょ、あれ。
――そうしたサービスを使ったという経歴は、その後のキャリアに響くものでしょうか。
どうだろうね。直接バレるかはわからないけど、リファレンスチェックとか、噂では広まるんじゃないですか。「あいつ、退職代行使ったらしいぞ」って。そんな評判が広がったら、マイナスにしかならないでしょ。
――たしかに、良いイメージはないかもしれません。
そもそも、退職代行を使うくらいなら、何も連絡しないでバックレた方がまだマシですよ。利用料もかからないし(笑)。
パワハラ上司がいるなら戦えばいい 反撃のススメ
――なるほど(笑)。ただ、本人が言い出しにくい、という気持ちも分からなくはないですが……。