S&P500最強神話は崩壊か…田端信太郎氏が「アメリカ株一本足打法は危険」と断言するワケ

リクルート、LINE、ZOZO──。日本を代表する企業で要職を歴任し、常にビジネスの最前線を走り続けてきた田端信太郎氏。現在はアクティビスト個人投資家として新たな舞台でその手腕を発揮している田端氏に、転職を成功させるための極意から、独自の視点で企業価値を見抜く「田端流投資論」の本質まで、その思考の神髄を伺った。短期連載全3回の第3回。
目次
デイトレーダーを毛嫌いする経営者に喝「上場しなきゃいい」
――デイトレーダーのような短期の株主も、同じ株主として尊重されるべきだと。
当たり前です。そういう短期的な株主を毛嫌いする経営者もいますけど、それもおかしい。そういう人に株を触られたくないなら、上場しなければいいだけの話。上場するというのは、そういうことなんです。それに、株の価値っていうのは、いつでも売れるという流動性によって担保されている部分が大きい。その流動性をもたらしているのは、短期で売買してくれるデイトレーダーたちなんですよ。
――たしかに、出来高のない株は価値を測るのが難しいですね。
株式市場って、経済における民主主義みたいなもんですよ。出来高が多いというのは、それだけ投票率が高くて、市場の意思が正しく反映されやすいということ。出来高がほとんどない株の時価総額なんて、ほとんど意味がない。年に1回しか取引されない株の株価なんて、信用できないでしょ。
田端氏が個別株投資にこだわる理由「インデックスは…」
――田端さんはいつ頃から投資を始められたんですか?
30ちょいぐらいのときですね。ちょうどBRICsブームとかがあって、中国株とかを買ってました。チャイナ・モバイルとかペトロチャイナとか、そこら辺を買っていましたね。「これから中国伸びるな」ぐらいの感じでしたけど。
――田端さんにとって、投資とはどういうものですか?
趣味であり、魚釣りのようなものですね。
――魚釣り、ですか?
スーパーで魚の切り身を買えば、簡単で確実においしい魚が食べられる。これが言うなればインデックスの積み立て投資。でも、それじゃ面白くないでしょ? 自分で釣り竿を垂れて、餌を選んで、潮目を読んで、アタリを待つ。グイグイ来たときのあの興奮と、釣り上げたときの達成感。時には逃げられて「クソッ!」ってなるのも含めて、そういうプロセス全部が楽しい。僕にとっての個別株投資は、それと全く同じなんです。
180度「方針転換」? 田端氏の投資スタンスに起きた大きな変化
――田端さんにとっては、儲かるかどうかよりも、プロセスが重要だと。
そう。お金儲けというよりは、知的なゲーム。だから、僕の活動は「応援投資」なんです。自分が「この会社は面白い」「もっとこうすれば良くなるのに」と思った会社に投資して、実際に提言して、会社が変わっていくのを見るのが楽しい。もちろん、結果として儲かることも大事な要素ですけどね。趣味と実益を兼ねているわけです。
――現在、投資家として応援されている企業には、どのような会社がありますか?
いろいろありますけど、たとえばINFORICHとか、プログリットとかですね。メルカリのときみたいに「北風」で批判するだけじゃなくて、「太陽」として応援して、僕が紹介することでその会社のサービスが広まって、株価も上がるっていうサイクルを作りたい。それにメルカリの一件で名前が売れたおかげで、今は「田端さんに会ってみたい」と言ってくれる経営者も増えました。
「S&P 500最強神話」は終焉か…これからの資産形成に必要な視点
――昨今の市場環境、例えばトランプ関税の話などを、個人投資家はどう捉えるべきでしょうか。