伝説のエンジニアから学んだ個別株の未来の見抜き方とは……元TBSアナが実践する「推し活投資」の本質

元TBSアナで、現在は資産運用にまつわる情報番組のMCとして活躍する国山ハセン氏。そんな国山氏は、一流のお金のプロから資産運用のノウハウを学んできた。プロのうちの一人、“伝説のエンジニア”から学んだという「推し活投資」について国山氏が解説する。全3回中の2回目。
※本稿は国山ハセン『投資初心者の僕がプロたちから学んだ、正しいお金の増やし方』(徳間書店)から抜粋、再構成したものです。
第1回:「オルカンかS&P500か」と悩んでいる人に元TBSアナが知ってほしい“第3の選択肢”とは
第3回:「莫大な利益」と「爆発的な人気」の予兆をどうやって感じるのか?元TBSアナが語る“誰でもできるシンプルな方法”とは
目次
伝説のエンジニアが実践する「メタトレンド投資」
僕が勝手に“投資の師匠”と仰いでいる、元Microsoftの伝説的エンジニア・中島聡さん。中島さんといえば、IT業界ではレジェンドのような存在。Windows95の開発に携わり、インターネット黎明期を最前線で見てきた方です。
そんな中島さんは投資家としてもレジェンド級の成果を上げています。
Apple、Tesla(テスラ)、NVIDIA。どれもいまや世界を代表する企業ですが、中島さんはそれらの株を、まだ世間の注目が集まる前の段階から購入していました。その結果、何十倍、銘柄によっては100倍近いリターンを得たとのこと。これらの企業はいわゆる「10倍株(テンバガー)」や「100倍株」の代表格。中島さんはそれらが「次の時代の主役になる」ことを見抜いていたのです。
その中島さんの投資手法は「メタトレンド投資」。ご自身の著書のタイトルにもなっています。メタトレンドとは、インターネットやスマートフォン、最近ならAIやEVのように、時代を根底から変えてしまうほどの大きな技術革新のうねりのこと。
中島さんはそれを先読みし、その中心となる企業に投資するという考え方を実践してきました。iPhoneが登場したとき、「スマートフォンが世界中に拡がる」と見抜き、Appleに投資。EVとAIの時代が来ると予測し、TeslaとNVIDIAに投資する。こうして、メタトレンドの「入り口」で投資し、その成長とリターンを最大限に享受してきたのです。
企業に投資で伴走する
なぜ僕が中島さんを師匠と呼ぶのか。それは単に投資のパフォーマンスがすごいからだけではありません。投資に向き合う姿勢そのものに惚れ込んだからです。
中島さんの投資スタイルをまとめた著書『メタトレンド投資』も拝読しました。もともと米国株、特にテック株を中心に投資していた僕にとって、その内容はまさに共感の連続でした。
中島さんは、最初から「10倍株、100倍株を狙おう」と意気込んで投資していたわけではありません。
そうではなく、10年に一度訪れるような巨大な技術革新の予兆に触れたとき、「このテクノロジーが世界の風景を書き換えてしまう」という確信が先にあり、その最前線を走る企業を応援せずにはいられなくなる。そんな未来に対する純粋な期待感やワクワクこそが、投資を突き動かす真の原動力だったのです。
この本質に触れたとき、僕の中でバラバラだったピースが噛み合い、自分の投資スタイルに1つの「確信」を持つことができました。僕がテック株にこだわり続けるのは、単に資産を増やしたいからだけではありません。「この技術が創る未来を、いちばん近くで見てみたい」と信じられる企業に対し、投資という形で伴走したいからです。
伝説のエンジニアである中島さんも、まったく同じ思いで投資をしていた。そのことが僕に大きな自信を与えてくれたのです。
Teslaに見た「強烈な未来への手応え」
中島さんの投資スタイルを象徴するのが、Teslaとの出合いです。 あるとき、ご友人から「もうTesla以外の車には乗れない」と絶賛されたそうです。「本当にそんなにすごいのか?」と半信半疑だったものの、実際に試乗したところ、そのクオリティの高さに驚かされます。
そこで体感したのは、地面に吸い付くような走行感や異次元の加速、そして圧倒的な静寂。その体験に衝撃を受け、その日のうちに購入を決断。
そして、ここからが中島さんらしいのですが、「こんなにすばらしい未来的な製品をつくる会社の株主にもなりたい」と考え、「車を買うなら株も買おう」と、車の購入金額とほぼ同額をTesla株に投資したそうです。
実は、僕自身も似たような衝撃を肌で感じたことがあります。僕はTesla車を所有しているわけではありませんが、以前アメリカでTeslaの「サイバートラック」に乗る機会がありました。その体験は、まさに僕のこれまでの常識を覆すほどのインパクトでした。この会社が創る未来は本物だ──。
そう直感した僕は、その場で「Tesla株はずっと売らない」と心に決めました。一度その革新性を体感してしまえば、もはや手放すという選択肢は消えてしまう。それほどまでに強烈な、未来への手応えがあったのです。
中島さんがAppleに投資されたのも、これと同じシチュエーション。iPhoneが登場したときも、中島さんは「まったく新しい体験だ」とその革新性に圧倒されたそうです。すぐにAppleの株を購入したのはもちろん、なんとみずからiPhone アプリを開発してしまったそうです。
「未来を確信したから、行動も投資も自然とついてくるんですよ」
中島さんのこの哲学は、僕にとって個別株投資の理想的なあり方を示してくれています。単にチャートを眺めるのではなく、1人のユーザーとして製品に惚れ込み、その驚きを投資という形で表現する。その純粋なプロセスこそが、揺るぎない長期保有の根拠になるのだと、あらためて実感しています。
「推し活投資」は最高にエキサイティング
「投資とは、推し活です」
僕の“投資の師匠”である中島さんは、ご自身の投資スタイルをそう表現されました。そしてその言葉は、僕自身の個別株投資のやり方に強い確信を与えてくれました。
中島さんによれば、「メタトレンド投資」には、成功のために不可欠な“両輪”があるそうです。1つは、AIやEVといった時代の大きなうねり、すなわち「メタトレンド」を先読みする力。そしてもう1つが、そのうねりの中心で輝く企業を見つけ出す「推し投資」の視点です。
大きなトレンドをつかむだけでは不十分。たとえば、AIが世界を変えるというメタトレンドを読んで、AIの開発に欠かせない半導体メーカーに投資しようと考えたとします。これは正しい第一歩です。
しかし、半導体メーカーの中にも勝者と敗者がいます。このトレンドに乗って企業価値を爆発的に高めたNVIDIAのような会社もあれば、かつての巨人でありながら苦戦を強いられたインテルのような会社もある。せっかく未来を予見できたのに、選んだ企業がインテルだったら、その投資は大してリターンを生まなかったでしょう。
では、無数にある関連企業の中から、どうやって「正解」を選び抜けばいいのか。それを導くのが「推し活」なのです。
中島さんにとって「推し」とは、単なる好みや勘ではありません。明確な基準があります。それは、技術の進歩によって社会がどう変わるかというビジョンを、経営者が鮮やかに語れるかどうかです。
自分が予見したメタトレンドの未来像を共有できる経営者、あるいは自分より一歩も二歩も先の未来を見せてくれる経営者に出会ったとき、中島さんの心は躍り、強く共感する。
「だからその会社を応援したくなる。製品も買いたいし、株主にもなりたい」
これこそが、中島さんの言う「推し投資」の本質です。
中島さんは、投資を「推し活」に喩えていました。自分が信じる未来をつくってくれる“推し”の経営者や会社を見つけ、その夢に自分のお金を投じる。これが最高にエキサイティングな応援の形なのだと。
この中島さんの教えに触れたとき、僕は膝を打ちました。ああ、まさに自分がやってきたのはこれだ。僕は無意識に、カリスマ経営者が率いる企業を選んできました。イーロン・マスク氏のTeslaやジェンスン・フアン氏のNVIDIA。彼らに共通するのは、明確なビジョンで未来を語り、それを実際に形にしてきた実行力です。
「このCEOが描く世界を、ぜひ見てみたい」と本気で思える。だから株を買うというより、未来の物語のチケットを買うような感覚だったのです。いま思えば、僕が個別株投資をしてきたのは、この「応援したい」という気持ちの延長線上だったのでしょう。
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