「莫大な利益」と「爆発的な人気」の予兆をどうやって感じるのか?元TBSアナが語る“誰でもできるシンプルな方法”とは

元TBSアナで、現在は資産運用にまつわる情報番組のMCとして活躍する国山ハセン氏。そんな国山氏は、あるカリスマ投資家から「推し活投資」の本質を学んだという。アナリストよりも早く有望な企業を知るための、シンプルで泥臭い方法とは。全3回中の3回目。
※本稿は国山ハセン『投資初心者の僕がプロたちから学んだ、正しいお金の増やし方』(徳間書店)から抜粋、再構成したものです。
第1回:「オルカンかS&P500か」と悩んでいる人に元TBSアナが知ってほしい“第3の選択肢”とは
第2回:伝説のエンジニアから学んだ個別株の未来の見抜き方とは……元TBSアナが実践する「推し活投資」の本質
目次
なぜ著名投資家は「ドン・キホーテ」に投資したのか
個別株を選ぶとき、その企業の未来をどう見抜くか。その答えの1つが、中島さんが実践されている「メタトレンド投資」でした。そして、もう1つの答えをカリスマ投資家から学びました。レオス・キャピタルワークスを率いる藤野英人さんです。
藤野さんの経歴は、まぶしすぎて直視できません。野村投資顧問(現:野村アセットマネジメント)、ジャーディン・フレミング投信・投資顧問(現:JPモルガン・アセット・マネジメント)、ゴールドマン・サックス。
名だたる金融機関を渡り歩いたのち、独立して立ち上げた投資信託「ひふみ」シリーズは、いまや運用資産1.5兆円(2025年12月時点)、顧客数100万人超えの大人気商品。僕のようなちっぽけな個人投資家からすると、霞んで何も見えないほどの運用スケールです。
そんな、ひふみ投信の藤野英人さんには伝説的なエピソードがあります。上場して間もないドン・キホーテに投資し、結果として株価が100倍以上に育った──。これは藤野さん自身もメディアや講演などで語っている有名なエピソードなので聞いたことがある人もいるかもしれません。
今でこそドン・キホーテは誰もが知る巨大企業ですが、藤野さんが投資した1990年代後半はまだ10店舗ほどの小さなディスカウントストアでした。しかもバッタ屋(在庫処分品や返品を安く仕入れて売る業者)と揶揄されていた時代です。なぜ藤野さんはそんなドンキに将来性を感じたのか?その理由は驚くほどシンプルでした。
「株価=企業の利益×市場からの人気」
つまり、企業の「利益」が上がれば株価は上がり、世の中からの「人気」が出ても株価は上がる。その両方が上がれば、株価は掛け算で跳ね上がる、というわけです。
もう少し正確に言うと、この方程式は投資の世界では次のように表現されます。
「株価=EPS×PER」
EPS(Earnings Per Share)は「1株当たりの利益」、つまり企業がどれだけ稼いでいるかを示す数値です。PER(Price Earnings Ratio)は「株価収益率」と呼ばれ、株価が利益の何倍まで買われているかを表す指標。PER が高いほど「人気がある(割高)」、低いほど「人気がない(割安)」ということになります。
聞き慣れないアルファベットが出ていますが、藤野さんがやっていることは、突き詰めれば「これから利益が上がる会社」と「これから今より人気が出る会社」を探すことです。
現場に足を運び、客のエネルギーを感じる
では、その予兆をどうやって察知するのか。そこにこそプロにしか見えない「魔法」があるのではないか。しかし、藤野さんの方法はシンプルなものでした。
それは「現場へ足を運ぶ」ことです。お店を見に行けば、そこでは誰にでも等しく、その“予兆”に触れる機会が開かれているというのです。実際、ドン・キホーテの店舗に行くこと、そこで買い物をしてみることは誰だって体験できます。
当時、多くの証券アナリストは「ドンキの店舗はごちゃごちゃして見づらい」と酷評していました。そこで藤野さんは、深夜2時の新宿歌舞伎町店へと足を運びました。すると目にしたのは、周囲の冷ややかな評価とはまったく異なる光景でした。
そこには、場所柄少し怖そうに見えるお兄さんたちもいれば、普通の女子高生のグループもいる。多種多様な人々が、真夜中にもかかわらず目を輝かせながら、山積みの商品を物色している。彼らはただ安いものを買いに来ているのではなく、まるで「宝探し」でもするように、買い物をレジャーとして楽しんでいたのです。
店内にあふれる熱気と、客足が絶えない活気。それこそが、将来の「莫大な利益」と「爆発的な人気」を感じさせる何よりの予兆でした。消費が単なる調達から「体験」や「娯楽」へと昇華する未来が訪れる。そしてこの会社は、その新しいカルチャーの中心になる。
そんな藤野さんの確信は、モニター上の数字ではなく、現場でお客さんたちが放っていたエネルギーを直接肌で感じて導き出されたものでした。
投資のヒントは街中にある
「難しい投資理論の本を100冊読むより、まず現場に行ってみること」
藤野さんの教えを僕なりに解釈すると、実に明快でした。どんなに立派なアナリストレポートを読んだところで、消費者のリアルな反応はわかりません。でも現場に行けば、客の入り具合、商品を手に取る様子、店員と客の会話、レジに並ぶ人の数までわかる。
その企業の商品やサービスに、人々がどれだけ関心を示しているか。その空気感こそが、数字よりも早く未来を教えてくれる。もちろんそれはドン・キホーテに限った話ではありません。
藤野さんの教えに触れて、僕はハッとしました。これまでチャート画面の前で唸っていた時間はなんだったんだろう……。値上がりしそうな株のヒントは、街中に転がっている。機関投資家でなくても、足を運べばそのヒントをつかむことができる。
しかも、「この企業は伸びる」という自分の読みが正しかったかどうかは、後日、実際の株価や業績で「答え合わせ」ができる。こんなにエキサイティングで、学びの多い投資法がほかにあるでしょうか。
深夜のドン・キホーテで未来を予見する。藤野さんの投資メソッドを、僕なりに一言で表現するならば、それは「徹底的な現場主義」に尽きます。
行くべきは「家電量販店」
藤野さんが提唱する「現場主義」を、私たちのような個人投資家が実践するにはどうすればいいのか。その具体的な方法は日常生活の中にあります。藤野さんが1つの指針として示してくれたのは、「3ヶ月に一度、家電量販店を最上階から地下まで歩き回る」という至ってシンプルな行動です。
一見すると、単なるウィンドウショッピング。しかし、そこはプロのアナリストたちもつかめない「情報の宝庫」にほかならないと言います。
家電量販店の全フロアを巡り、売り場の販売員の方に「最近、何がいちばん売れていますか?」と尋ねてみる。そこから得られるのは、どのメーカーの製品が実際に支持され、どんな技術が売り場で勢いを持っているのかという、加工される前の「一次情報」です。
客という立場であれば、最新モデルの優位性や競合他社との違いについて、現場のプロから丁寧なレクチャーを受けることもできます。
さらに重要なのは、これを定期的に繰り返すことです。3ヶ月に一度というスパンで再び同じ場所を訪れ、もし以前人気だった製品が他社のものに取って代わられていたとしたら、それは市場のシェアが動き始めているシグナルです。
企業の業績が変わる最初の兆しは、決算書ではなく、こうした売り場の最前線に表れるわけです。
こうした売り場の観察は、時にプロのアナリストよりも早く未来を察知する手段になります。現場でヒット商品が生まれてから、その結果が企業の決算数字として公表されるまでには、通常2〜3ヶ月のタイムラグが生じるからです。どれほど優れた専門家でも、発表されたデータを確認するまで確実なことは言えません。
しかし、みずから足を運んで現場のリアルを知っている人は、その変化を「決算発表前の先行指標」として、アナリストよりも早くつかむことができるのです。
もちろん、家電量販店というのは1つの象徴的な例えにすぎません。行列ができている飲食店。あるいは街中で見かける広告の変化。一次情報は至るところに存在します。
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