不動産「ババ抜き時代」が始まった! プロが教える「購入」も「相続」も避けるべきエリア

「売れない、貸せない、しかし所有しているかぎり管理費も固定資産税も払い続けなければならない。それが『負動産』です。今後、相続を通じてこの『負動産』を抱える人が一気に増えていきます」
不動産事業プロデューサーの牧野知弘氏は、そう警鐘を鳴らす。団塊世代の後期高齢者入りで、日本はこれから「大相続時代」に突入する。中古不動産が一斉に市場に放出される「大相続時代」、本当に「資産」になる不動産の条件とは何か。
買うべき不動産、相続すべき不動産と、そうでないものの分岐点はどこにあるのか。連載全3回の第2回。
目次
「負動産」化しやすい特徴
「負動産」化しやすいエリアには、共通する特徴があります。一言でいえば、「人口が流動的でない街」です。
街というのは、人が入ってきて、人が出ていく。その新陳代謝が一定の割合で起こっていることで、不動産も売り買いされ、価格が保たれます。ところが、人口の入れ替わりが止まった瞬間、不動産は流通しなくなる。買い手も借り手もつかなくなる。
これが地域全体の負動産化の入口です。
地方や郊外がその典型例として挙げられますが、実は地方や郊外だけの話ではありません。東京の郊外、いわゆるニュータウンと呼ばれるエリアでも、同じ現象が起き始めています。
特に注意すべきは「近代になって急に作られた街」。代表的なものが高度成長期からバブル期にかけて開発された郊外のニュータウンです。当時、都心まで多少時間がかかっても、緑が多く広い家が持てるということで、こうした住宅地には人が殺到しました。ただ、こうした街には致命的な弱点があります。「歴史が刻まれていない」のです。
街として代々受け継がれている街、二世代目、三世代目と住み続けられている街は、人口の入れ替わりがあっても根本的に枯れません。子や孫の世代が戻ってくる、あるいは新しい家族が入ってくる。そうした循環があるからです。
これに対して、似た年代の家族がいっせいに移住した街は、住民の年齢構成が極端に偏っています。子どもたちは同じ時期に小学校に上がり、同じ時期に卒業していく。子ども世代が独立して街を出ていけば、地域の小学校は児童数が激減し、統廃合に追い込まれます。商店街の客層も一気に高齢者だけになり、若い世代向けの店は撤退していく。バス便も利用者の減少とともに削られていきます。
住民が世代ごとに固まって入ってきた街は、世代ごとに固まって街を抜けていく。代わりに入ってくる人もいないため、街そのものが世代とともに老いていくのです。
都心なのにバスがないエリアも
人口の入れ替わりが止まった街に、決定打となるのが生活インフラの縮小です。
まず交通インフラ。横浜の港南台のような人気を博していた旧ニュータウンでは、すでに路線バスが20時で終わってしまうエリアも出てきています。夜になればバスがない。さらに、いま全国でバスの運転手が足りなくなっていて、路線の減便や廃止が相次いでいます。
「駅からバスで15分」が許容された時代は終わり、駅から遠くバス便に依存する住宅地は、それだけで負動産化のサインです。バス便が減れば、住宅地はますます孤立し、不動産としての価値は加速度的に落ちていきます。
次に商業インフラ。私が一つの目安にしているのが、人口30万人というラインです。県庁所在地でいえば、たとえば高知市がだいたい人口30万人ほど。このあたりを下回ってくると、不動産価格下落の悪循環が始まりやすい。
地方都市では、郊外の大型ショッピングモールが生活の中心になっている地域が少なくありません。人口が一定ラインを割り込むと、そのモールが採算割れを起こして撤退してしまう。買い物の場が失われ、生活の利便性が一気に下がる。利便性が下がればさらに人が出ていき、人口が減る。減ればまた別の施設が撤退する。この悪循環に一度入ると、抜け出すのは容易ではありません。
そして中山間部まで行くと、話は深刻さを通り越します。こうした地域では、道路や橋、上下水道といった基幹インフラそのものを、もはや維持できなくなりつつあります。人がほとんどいない場所に税金を投じてインフラを保ち続けることは、自治体にとって現実的ではないからです。
大量に不動産が供給されるなかで、インフラが維持されない場所の不動産を買う人はもはやいません。これらの物件の資産性は、急速に落ちていくはずです。