これさえあれば大丈夫? ベテラン中長期投資家が積立投資と個別株をやる理由
本稿で紹介している個別銘柄:東ソー(4042)、デクセリアルズ(4980)、タスキホールディングス(166A)
神戸を拠点に個人投資家向けの勉強会を主催し、現物中心の中長期投資を続けてきたキリン氏。投資歴は約11年、年間ベースでのマイナスは2018年が最後という安定した戦績を持っています。
もともとは小型グロース株を愛してやまない逆張りの投資家でしたが、半導体・AIが相場を牽引する今年は、その型を大きく崩さざるを得なくなっていると言います。
キリンさんが今注目している銘柄3選を教えていただきました。インタビュー連載全2回の最終回。
目次
つみたての成績が驚異的?それでも個別株をやる意味
ーー以前からキリンさんはつみたて投資を勧めていますが、そのお気持ちは今も変わりませんか?
つみたて投資は、最強中の最強で、全国民マストだと思っています。人間の恐怖心や欲望は判断を鈍らせることが多いので、「毎月これだけ買う」を何も気にせず機械的に続けられるのはすごく大事なことだと思っています。
ーー投信の組入れ銘柄を見て、それを個別に買うのと、毎月コツコツ積み立てているのとでは、どちらが良いと思いますか?
積立です。組入れ上位を自分で個別に買おうとすると、結局どこで買って、どこで売るかを自分で判断することになります。そこに人間の恐怖心や欲望が入り込んで、たいてい判断を誤るんです。だったら、何も気にせず毎月決まった額を「機械的に買える」ということに価値があると思います。
ーーキリンさんは何を積み立てているんですか?
僕はずっとS&P500を買っています。個別は日本株がメインで、米国株の中身はよく分からないため、とりあえずいろいろ入っているS&P500にしているというだけなんですが……。
成績は、今の新NISAのつみたて投資枠はプラス30%、それとは別に、昔のつみたてNISAで買ってそのまま残しているものがプラス96%。さらにもう一つ前の旧NISAが残っていて、そっちはプラス194%ですね。
これだけ必死に毎日やっているのに「つみたてが一番良いじゃん(笑)」と思ってしまいますね。
個別銘柄に投資するメリットは?
ーーそれでも、あえて個別株に投資をするメリットを教えてください。
時間がない人や、継続的に銘柄調査をするのがしんどい人は、無理にやらなくて良いんです。今は新NISAの積み立て投資枠で月10万円まで積み立てられるので、それだけで十分と言えば十分。ただ、全体の相場観を見ておかないと「いつやめるか」の判断ができないので、積立をやりつつ個別株や全体相場も見るというのが一番良いとは思います。そのうえで個別をやる意味は、時折、キオクシアのような銘柄に出会えることです。
投資をしていれば、どんなビジネスが存在して何が流行っているのかを知るきっかけにもなります。自分の意思で投資する部分があったほうが、投資人生は楽しいと思うんです。
振り返れば苦しい時間のほうが多いですけど(笑)。たまにでも、想定通りに事が運んで大きな利益が取れる瞬間があって、それが味わえるのは個別株だけだと思っています。
注目している銘柄3選
ーーでは、今注目している銘柄を3つほど教えてください。
1つ目が東ソー【4042】です。化学メーカーなので、いわゆるAI銘柄とは思われていないでしょう。ただ、フジクラや住友電工、古河電工といったケーブル系が大きく上昇しましたよね。東ソーも将来的にデータセンター向けのケーブルを量産化するという日経の記事が5月の連休明けに出て、それに少し株価が反応しました。まだ実需の話ではないのでその後は伸びていませんが、データセンターの需要はこの先数年、減る可能性は低いでしょう。むしろ増えていくものだと思います。これから参入する企業でも評価されるタイミングが来ると思い、ウォッチ用に少し買ってみました。PERは15倍ほどで、安いと判断しました。