定価3500円が10万円に 中東情勢が生んだ”シンナー転売ヤー”の正体
中東情勢の悪化でシンナーや塗料など石油由来の材料の供給が滞る中、自動車の修理現場では材料の転売という異常事態も起きているようだ。現場は未曾有の混乱に見舞われているが、どのような状況だったのか。大阪府豊中市で自動車の修理・塗装や整備を手がける株式会社BICで代表取締役を務め、登録者16万人以上のYouTubeチャンネル「BICチャンネル(BEEFITCARS)」を運営し、日々自動車業界のリアルを発信している細田宗範氏に現場の実情について話を聞いた。(聞き手・望月悠木)
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定価3500円が10万円で転売
――動画内では「転売が横行している」という話もありましたね。
そうですね。シンナーが入った16リットルの缶で、通常なら3500円くらいのものが、フリマアプリで10万円近い値段で取引されているのを見た時は驚きました。出品者を調べたところ、塗料を扱うお店の従業員だとわかるケースもあれば、実在する塗料販売店が名前を変えてネットで売っていたケースも見つかりました。
そもそも、修理現場で使う洗浄用のシンナーというのは、飲食店で使う洗剤のようなもので、いろいろな業種で使い道があります。板金塗装だけでなく、建設業者や鉄工所でも幅広く使われている。だからこそ、ネットで売れば買い手がつきやすく、転売する側にとってはうまみのある商品だったんだと思います。
――いくら「需要がある」とはいえ、釈然とはしませんね。
正規のルートでは手に入らないため、10万円出してでも仕入れざるを得ない業者もいたと思います。ただ、2026年6月23日から、経済産業省と国土交通省の窓口を通じて、卸売業者を介さずにメーカーから直接購入できる仕組みが始まりました。
ネット通販会社の物流網を活用することで、必要な量を国交省の窓口に伝えればメーカーから直接届くようになった。安く買えるルートができた途端に、高値でも買う人がいなくなり、転売は自然と下火になっていきました。
――転売ヤーの出現は今回に限った現象なのですか。
実は小さな缶を職場からこっそり持ち出して安く売るような転売は、平常時からありました。ただ、今回のように塗料販売店自体が堂々と便乗値上げのような転売をするのは異例です。買う人がいる限り転売はなくならない、買う人がいなくなれば自然に終わる、というのはどの世界でも同じなのかなと。こればかりは、正規のルートを整え、転売ヤーから買う理由をなくす以外に、確実な対策はないのだなと思いました。