どうなる為替、金利、株価・・・投資歴10年超の兼業投資家が見る「年末シナリオ」
10月から始まる2Qの発表を前に、ポートフォリオと向き合う時間が増えている投資家は多いことでしょう。
小型グロース株を主戦場に投資歴11年、株式勉強会の主宰者としても知られる個人投資家・キリンさんは、1Qの結果を踏まえ、楽観的に構えていません。
年末に向けて、どんなシナリオを想定しているのか伺いました。インタビュー連載全3回の第1回。
ドル円相場、急騰した円に投資家は?
ーーまずは直近のことからお聞かせください。日経平均株価の変動が激しいですが、最近はどのようなことを意識していますか。
日々の値動きが激しいので、とにかく振り回されないようにと意識して過ごしてきました。
正直に言うと、今年の夏ごろから本業が立て込んでいて、株にそこまで向き合えていなかったというのが実情です。気がつけば9月に入ってからかなり損をしていて、8月までは悪くなかったのですが、何が影響してこうなっているのかを一言で説明しにくい相場になっていると感じています。
この3カ月で最も大きかった動きは、日経平均よりもドル円でしょう。直近で円高が進み始めたので、日本株も少々苦しい局面に入っているのかもしれません。
ーードル円は一時163円台を付けましたが、153円台(取材日:9月13日時点)を付ける場面もありましたよね。
これほど急激に動くのは投資家にとってはあまり喜ばしいことではありません。為替の適正水準がどこにあるのかは誰にも分かりませんが、企業の皆さんは一定の幅を想定して予算を立てているわけで、それを急激に突き破るような動きをされると計画が狂い、影響がとても大きくなります。
大手企業の想定為替レートは150円台前半が中心ですから、150円を割るような水準になると、輸出企業を中心に業績の重しになってきそうです。これまで円安を追い風にしてきた輸出関連については考え方を見直す局面に入るのかもしれませんが、この後再び160円を目指す可能性もあるので、何とも言えませんね。
ただ、輸出関連といっても為替の効き方は業種によってかなり違います。海外に生産拠点を持っている企業は為替の影響を受けにくいですし、国内で作って輸出している企業ほど効いてきます。同じ「輸出関連」でひとくくりにはできないので、そこは決算資料で確認するようにしています。
ーーたとえば1カ月の間に163円から153円まで円高が進み、その後の半月で160円まで戻したとします。結局1カ月前とあまり変わっていないという判断になるので、影響は小さいものなのでしょうか。
それは企業によるのではないでしょうか。損益計算書の上では取引をした日のレートで換算するものもあるでしょうし、一方で貸借対照表は期末時点ですから、期末に戻っていれば影響なしということになります。ただ、総じて言えば、年間のなかで為替の変動があまりに大きいと、その時々のレートで取引が行われてしまうので、企業ごとに何らかの影響は出てくるはずです。「今日は円高だから取引をやめておこう」とは言えませんからね。
円安・円高、どちらに傾いたとしても、相場の方向性に合わせてポートフォリオを考えていくだけですが、いずれにしても、投資家にも準備というものがあるので、急激に動くのはやめてほしいというのが正直な感想です。皆さん、それぞれの懐事情がありますので…。
長期金利の影響は?
ーー長期金利が3%台に乗せました。前回、金利が上がると高配当株が買われなくなるとおっしゃっていましたが、実際にそうなっていると感じていますか。
意外と影響はなさそうです。個人が国債をそれほど買わないのか、理由はよく分かりませんが、高配当株は普通に買われています。
実際、ニュースを見ていたところ日経平均株価が6月に高値を付けて以降、日経平均高配当株50指数、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)などを並べたグラフが出ていました。半導体は大きく崩れ、日経平均はならせば横ばい、高配当株は上振れという形になっていたので、金利との関係は一概には言えないと、自分は考えを修正しています。
企業側の還元政策も工夫を凝らしているところが増えているので、連続増配やDOE(株主資本配当率)を掲げている企業、金利上昇で本業の業績が改善する銀行などは、これまで通り買われるのではないでしょうか。厳しいのは、収益力が低く増配余地の少ない、単なる高配当株だろうと思うので、見極め・選別が必要ですね。
利回りだけを見て買うと、減配した瞬間に株価と配当の両方をやられます。配当性向がすでに高いところは、増益がなければ増配余地がありません。利回りが高いのは株価が売られているからで、売られている理由のほうを見るべきだと考えています。
ーー中東情勢は、前回「覚書にサインしたので落ち着くと思いたい」とおっしゃっていましたが、再び緊張が高まっていますよね。
緊張が高まったり落ち着いたりを何度も繰り返しているので、個人的には、この話題で緊張が高まることにはもう飽きています。
本業で化学メーカーを訪ねる機会が多いのですが、物が入ってこないといった事態は意外と起きていないというのが現場の反応です。警戒はしたけれど思っていたほどではなかったということでしょう。
ただ、部材の価格はかなり上がっています。仕入れ価格が上がる一方で、商品価格への転嫁を顧客側に受け入れてもらえているので、特に困っていないというのが皆さんの感触でした。前回話したナフサ価格についても、同じ構図で見ています。
とはいえ、戦争ですから、世界平和を願う一人の人間としては早く収まってほしいと思っています。投資家としては、特段の色をつけずにフラットに見ておくしかありません。