楽天・GMOの防衛産業参入は経営判断として合理的なのか? 専門家が語る「普通の判断」
8月、楽天グループがドイツの防衛系スタートアップ「ヘルシング」と提携し、同社のドローンの日本導入を支援すると報じられた。この報道を受け、「企業理念や反戦・平和の価値観と相いれない」として、「楽天市場」からの撤退を表明する出店者が相次ぎ、SNS上では楽天が提供するサービスの退会を報告する投稿も散見された。また、9月にはGMOインターネットグループのイベントにEXILEのHIRO氏が出演予定だったが、米防衛ソフトウェア大手パランティアのCEOが登場することが発表されると、これにファンが抗議し、HIRO氏は参加を見合わせた。企業が防衛産業と結びつくことに強い抵抗感を覚える人や企業は少なくない。防衛省防衛研究所主任研究官の小野圭司氏に、企業の判断の妥当性などについて話を聞いた。(聞き手・望月悠木)全4回の第1回。
みんかぶプレミアム連載「株式投資で億り人に」
反応が起きるのは「自然なこと」
――防衛産業に関与する日本企業に厳しい視線が向けられていますが、こうした反応をどう受け止めましたか。
戦後から冷戦期にかけての経緯や、現在のウクライナやガザ地区の状況を考えても、こうした反応が起きるのは当然です。また、日本には第2次世界大戦への反省が強く求められる社会風土があり、そうした風土の中で「軍事や防衛に関わる企業とは取引をしない」という意見が出て、ネット上で反応が広がったり、企業が動いたりすることは、自然だと思います。
――やはりウクライナやガザの情勢で、戦争への意識が高まっていることが大きいのでしょうか。
それがなくても、日本には「軍事とは距離を置きたい」という強い世論があります。今年はアメリカやイスラエルがイランを攻撃しましたが、そうした出来事があってもなくても、程度の違いはあれ、同じ反応は出てくるでしょう。ただ、私が意外だったのは反応そのものではなく、あれほどバズったことです。ネガティブな反応が出たこと自体ではなく、それに多くの人が追随し、盛り上がりを見せたことは予想外でした。
――こうした動きは続きそうですか。
一過性だと見ています。付和雷同的な反応と感じますので、おそらく長続きしません。しかし、「事業は本来こうあるべきだ。だから軍事とは一線を画す」と真剣に考え抜き、そのうえで意見する流れが作られれば、継続していくでしょう。大切なのは、正確な知識に基づいて考え抜いて、結論を出すことです。なんとなく流れの尻馬に乗って、「退会だ」「賛成だ」となることには首を傾げます。
――ちなみに、海外ではイスラエル支援を理由にスターバックスなどで不買運動も起きました。こうした不買運動をどのように評価していますか。
先述した通り、自分の考えに基づいて不買運動を行うこと自体は、民主主義にとって必要なことだと思います。とはいえ、戦争や軍需産業に関与する企業をすべて避けていては、生活を維持することは難しいです。みなさんが何気なく、それでいて当たり前に利用しているGoogleも、軍事関係と無縁ではありませんから。