「枕元でハァハァ、無慈悲に首をへし折る」クマは友情が理解できない“20年飼った熊に殺された長野の男性”…年間5億の熊被害

先日、イギリスのいくつかの主要メディアで秋田県発信の小さなニュースが報じられた。近年人気のジビエ料理、クマ肉の自動販売機が登場したという話題だ。イギリス人には珍しい、ちょっとしたトピックスだが、その背景を探ると、増加傾向にあるクマ被害などの問題が現れる。クマによる農作物被害は年間5億にも上るというが、はたして人とクマは共生できるのか。
人里に出没するようになったクマたち…狩猟したクマ肉の自販機も登場
イギリスのBBCや、ガーディアン紙がこぞって報じたのは、秋田県仙北市のJR田代湖駅近くの物産館「田代湖市(いち)」の出入り口付近に設置されたクマ肉の自販機である。
引用元の毎日新聞(2023年3月27日)には、「販売するクマは、地元猟友会のメンバーが市内の山で捕獲し、食肉処理施設で加工されたものだ。地元産のクマ肉を秋田土産にしてもらおうと、田沢湖市にある飲食店『そば五郎』の関係者が昨年11月に自販機を設置した」「そば五郎の担当者は『くせがなく、冷めても柔らかいのが特徴。煮込みからステーキまで幅広く味わえる』」と記されている。
価格は、250グラムで2200円。平均すると、週に10〜15個の売り上げがあり、新幹線の乗客が主な顧客だという。
近年、食料不足から森を離れ、都市部に出没するクマが増加している。日本の人口減少、特に農村部での人口減少も要因のひとつとなっているようで、クマは人の少ない地域に引き寄せられ、その地域住民にとって脅威となっているようだ。
環境省「クマ類による人身被害について【速報値】」(2023年4月4日)によれば、2021年度で80件、2022年度(2023年2月末までの暫定値)で71件もの、クマによる襲撃事件が発生していて、特に東北地方では事件の数が増え、宮城県では過去6年間で最も多い件数となっている。環境省によると、過去7年間で年約3000~7000頭のクマ(ヒグマ含む)が全国で捕殺されている。
こうして、捕殺されたクマをそのまま廃棄してしまうのではなく、自販機で一般人が買えるようにしたことは、クマによる痛ましい事件の存在を日本社会が知るきっかけにもなるだろう。当然、経済的なメリットもあり、持続可能な地域社会への一歩となるのかもしれない。