成功者の「学歴不要論」に騙されるな――東大理一から医学部へ再受験したインフルエンサーが辿り着いた、理不尽な社会を生き抜く“最強の学歴戦略”
「学歴なんて社会に出たら関係ない、実力主義の時代だ」――そんな世間の綺麗事を軽やかに一蹴し、日本社会の根底に流れる「序列」のリアルを冷徹に見据える人物がいる。東京大学理科一類を卒業後、外資系企業でエンジニアとして働き、現在は再受験を経て東京大学医学部に在学中のインフルエンサー、Saki氏だ。
同氏は、理不尽な学歴社会をただ嘆くのではなく、そのルールをハックし、自分の人生を有利に進めるための「防具」として使い倒す戦略を提唱している。
本稿では、全3回にわたりSaki氏のキャリア論を再構成して徹底解説。 全3回にわたるキャリア論の最終回となる本稿では、世間に蔓延する「学歴不要論」の残酷な罠と、学歴を「目的」ではなく「最強のツール」として使い倒すための思考法について、同氏が徹底解説する。
みんかぶプレミアム特集「学歴社会の功罪 AI時代に学歴は無意味なのか」第8回
「学歴なんて関係ない」と叫ぶ人たちの2つの正体
世の中には「学歴なんて社会に出たら関係ない」「大学に行く意味はない」と声高に主張する人たちがいます。僕の分析では、彼らは大きく2つのパターンに分けられます。
一つは、「学歴のレールに乗らずに圧倒的な成功を収めた一部の天才たち」です。若くして起業し数十億の資産を築いた経営者や、カリスマ的なトップクリエイターなどがこれに当たります。たしかに、圧倒的な事業の才能と行動力、リスクを取る度胸を持った彼らにとっては、18歳時点のペーパーテストの成績なんて誤差でしかありません。しかし、それはあくまで「成功したから言える生存バイアス」です。特別な才能もないごく普通の人たちが、彼らの言葉を真に受けて「自分も学歴なんていらないんだ」と錯覚するのは非常に危険です。
そしてもう一つが、「学歴コンプレックスから目を背けたい人たち」です。自分自身が18歳の受験戦争で勝てなかった、あるいは挑まなかったことへのルサンチマン(怨恨)から、「あんなものは詰め込み教育の産物だ」「実社会では使えない」と、学歴というシステムそのものを否定することで自己防衛を図っているケースです。 どちらの意見も、これから社会に出てキャリアを築こうとする若者にとっては、百害あって一利なしだと僕は考えています。
最も「フェアで再現性の高い」競争を降りてはいけない
なぜなら、大学受験というのは、日本の社会において「最もフェアで、最も努力が報われやすい、再現性の高い競争」だからです。
社会に出れば、親の資産、容姿、コネクション、愛嬌、あるいは時代背景といった、個人の努力ではどうにもならない不確定要素(運)が結果を大きく左右します。ビジネスで年商10億円を作る方法は、誰がやっても100%成功するとは限りません。 それに比べて大学受験は、出題範囲が決まっていて、明確な正解があり、正しい努力を正しい量だけ積み重ねれば、誰でも高確率で結果を出せるゲームです。こんなにシンプルで、かつ一生涯にわたって「社会的な信用」と「高い生涯賃金のベース」を担保してくれるプラチナチケットは、他に存在しません。
この「最も勝率の高いゲーム」から逃げておいて、社会に出てから「学歴フィルターは不平等だ」「日本は格差社会だ」と文句を言うのは、あまりにも筋が通っていません。理不尽な社会を嘆く前に、まずは18歳で与えられる一番簡単なゲームをクリアしておくべきなんです。