「国葬やるってレベルじゃねーぞ」「右も左もバカしかいない」安倍国葬当日、九段下での乱痴気騒ぎ

大失態から2カ月、過去最高レベルの警備体制で迎えた安倍元総理の国葬

「国葬やるってレベルじゃねーぞ」

 2022年9月27日、安倍晋三元総理の「国葬」が東京・日本武道館で開かれた。そんな中、武道館周辺では警視庁だけでなく、隣県の神奈川県警からの応援を含めて大量の警察官が押し寄せていた。読売新聞によれば最大約2万人を動員し、「過去最高レベルの警備態勢」での警備を実施した。

「この1カ月、警視庁警備部はかつてなくピリピリしていました。そもそも国葬を引き起こした原因は山上徹也容疑者による暗殺を警察が許してしまったからですからね。その際、警察組織の解体論まで一部では噴出していたわけですから、今回は何がなんでも失敗するわけにはいかなかったのです。そのため、警察官による職務質問もかなり厳しくなっていました。この夏、なんかやたらと警察官に声かけられるなぁなんて感じていた人もいるんじゃないですかね」(全国紙社会部警視庁担当記者)

 安倍元総理が暗殺されたとき、誰もが日本のSPの無能さに絶望したことであろう。安倍元総理の背後で爆発音がした後、撃たれるまでの間に周囲の人間が安倍元総理の前に身を挺したものの、覆いかぶさった様子などは見られなかった。一体何のためにそこにいるのかわからない、徹底したダメっぷりを日本、そして世界にさらした。

 それにより、事件よりおよそ一カ月半後に警察庁の中村格長官と、奈良県警の鬼塚友章本部長はそれぞれ辞意を表明した。辞意表明の翌日に開かれた警備会議では大石吉彦警視総監が幹部ら約240人を前に「(暗殺を)警察が阻止できなかったのは断腸の思いだ」と述べた上で、「国葬の警備は警察の存在意義が問われる。全身全霊で取り組んでもらいたい」とはっぱをかけた。

「実はその会議が開かれる前は、そこまで警視庁の警備部が大して焦っている様子はなかったのです。というのも、ミスの多くは奈良県警によるもので、たしかに警視庁も人を出していましたが、どこか他人事でした。それに対して記者仲間からも『ちょっとどうかと思う』という声も聞こえてきました。ただ、警視総監の発言で雰囲気はガラっと変わりました」(同)

 そうした中で開かれた国葬である。

「核武装」「改憲」VS「BLM」「家父長制廃止」‥ロイホの前で大合戦だ、わっしょいわっしょい!

 お昼ごろ、国葬会場である日本武道館の北側、「九段下」の交差点では、日本国旗を掲げている団体が拡声器を使い「国葬防衛」を訴えていた。国旗のポールには喪章を巻いていたが、服装はジーパンだったり、迷彩柄だったりといまいちに「喪に服している感」はなかった。そうした中で団体は「改憲、核武装で反撃せよ」と、国葬とは直接関係ないような文言もプラカードでアピールしていた。ちょうど九段下交差点のファミリーレストラン「ロイヤルホスト」の前だ。よくわからず、ロイヤルホストにきてしまった九段下マダムがいたとしたらちょっと気の毒に思えてしまう。

 次第に警察官がワラワラと集まり、ランチタイムに勤しむビジネスパーソンでごった返す九段下の交差点を封鎖し、例の団体を取り囲んだ。

 すると、今度は神保町方面から大群が列をなして「国葬反対!」「わっしょい!」と叫びながら交差点に進入してきた。こちらは国葬反対ということで鼻っから喪に服すつもりはないようで、大胆に肌を露出した女性が「BLM」と書かれたレインボーフラッグを大きく振っていた。こちらも、「家父長制廃止」など、まったく国葬とは関係ないことをごっちゃまぜにシュプレヒコールをあげ、デモをしていた。

 そして集団は封鎖された交差点を堂々と、ゆっくり、そして大声をあげながら右折していく。その間、多摩川を渡って応援にきた神奈川県警の警察官たちが必至に通行人に頭を下げていた。

 曲がった先にはロイヤルホストがある。そう、「防衛集団」が陣取っている場所だ。人数にして国葬防衛集団は10人程度。それに対して国葬反対集団は数百人。仮に直接殴り合ったら防衛集団に勝ち目はないだろうが、そこは警察官が防衛集団を囲って余計な争いが起きないよう防衛しているので安心だ。

 防衛集団は「かーえーれ」「かーえーれ」と声を荒げる。その前を反対集団はゆっくりと「国葬反対!」「わっしょい!」とシュプレヒコールをあげながら、そして時には中指をたてながら、行進していった。白のトラックに載せた巨大スピーカーが「ズンシャカズンシャカ」と低音のビートを刻んでいる。ロイヤルホストで優雅なランチタイムを送るはずだった九段下マダムからしたら本当に災難だったであろう。

エリザベス女王国葬との、彼我の違いにため息‥天国の安倍元総理はどんな気分でこの光景を眺めていたのだろうか

「あー今日もこうなったか」

 そう語るのは、騒動を見に、経営する飲食店から出てきた男性だ。

「靖国神社がある九段下は終戦記念日になれば右翼と左翼が同時にデモを起こして大混乱を引き起こすのですが、さすがに今日は国葬ですからね……。こうはならないだろうと思っていました。もう国葬をやるってレベルじゃない。右も左もバカしかいない」

 安倍晋三元総理が国葬に値するのかどうか。銃撃事件直後は、悲劇的な死を遂げた総理に対する同情の声から、賛成の声が世間では多かったように思える。しかし、その後は統一教会問題が盛り上がり、世論調査をみれば反対派の方が多くなってしまった。

 そして英国のエリザベス女王の国葬を見て、反対派vs賛成派が果てしない争いを続けている日本との「格の違い」にため息が出てしまった人もいただろう。

 ただ、九段下の交差点でドンチャン騒ぎがあった一方で、一般献花台には行列ができ、JR四ツ谷駅の方まで伸びていった。あまりの長さに諦めて帰る人もみられた。そして実際の国葬を巡っては、盟友菅義偉氏の弔辞に「涙した」とコメントする人がネットでは続出していた。

 結局この安倍国葬とは何だったのか。安倍総理は自分の国葬をどんな気分で天から眺めたのだろうか。それぞれがやりたいことをやり、言いたいことを言っている、国民のあまりの自由さと日本の民主主義を笑っているのだろうか。

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