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なぜ年収1000万円が最も不幸なのか

年収1,000万円を「高収入」と感じられる方も多いでしょう。国税庁による「民間給与実態統計調査」によると、令和3年の平均年収は433万円で、年収1,000万円を超える人は全体の4.6%にとどまります。現在の日本で年収1,000万円を超えるのがいかに難しいことかがわかりますよね。

しかし、年収1,000万円でも生活に余裕があるリッチな人と、日々の支払いに追われてカツカツな人がいます。実際に、年収1,000万円を超えているのに「貯蓄が全然増えない」「いつまでたってもお金に余裕がないと感じる」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。年収1,000万円でも貯蓄なしの貧乏な人とは、どんな人なのでしょう。

年収1,000万円世帯なのに貯蓄ゼロの世帯は〇%!

年収1000万円の手取りは、700万円~800万円程になります。額面給与から所得税、住民税、厚生年金保険料、健康保険料などが差し引かれるからです。

手取りが750万円と仮定すると、月換算の手取りは62.5万円となります。(賞与を考慮せず750万円を12カ月でわける。)月々62.5万円という数字だけ見れば、十分贅沢できると思う人もいらっしゃるでしょう。

例えば、家賃が月15万円、光熱費が月2万円、交通費が月2万円、食費・外食費が月8万円、通信費が月2万円、子供の習い事代が月1万円、夫婦のお小遣い合計月4万円、日用品代が月1万円、美容・被服代が月2万円、保険料が1万円・レジャー代が2万円で計算すると40万円です。

実際に、2020年に総務省により行われた「家計調査」によると、年収1,000万円世帯(世帯人員4人以上)の生活費の全国平均はおよそ41万円でした。62.5万円から41万円を差し引いても21.5万円が残るので、十分余裕があるといえるでしょう。

金融広報中央委員会による令和2年に行われた調査「家計の金融行動に関する世論調査【二人以上世帯調査】」によると、世帯年収1,000万円~1,200万円の平均貯蓄額は2,386万円、中央値は1,500万円でした。この通り、年収1,000万円を超える人にとって、1,000万円以上の貯蓄は難しくないはずです。

しかし、その中でも金融資産非保有世帯が4.0%、100万円未満の世帯が2.0%存在することがわかりました。十分な収入があるのに、なぜ貯蓄できないのでしょうか。

年収1,000万円でもカツカツな人たちはどんな生活をしているのか

年収1,000万円超えていても貯蓄がほとんどない人は、見栄の張りすぎが一番の原因といえるでしょう。

上述のとおり、年収1,000万円を超える人は少数です。特に、20代~30代で年収1,000万円を超える人はほとんどいません。また、年収1,000万円を超える給与を出せる企業は日本を代表する大企業であることがほとんどです。

実際に、筆者の周りも大手企業に所属して、20代で年収1,000万円を超える会社員が多いですが、このような属性の男性は、プライドが高くなりがち。自分が稼いでいるという承認欲求を満たすために高級外車に乗り、立地が良いタワーマンションを購入し、ブランド品で身を固めています。

筆者の知人Aさん(30代前半・大手金融機関勤務)の年収は1,000万円を少し超えるくらいとのこと。20代後半で結婚して、すぐに豊洲のタワーマンションとアウディのSUVを購入しました。自分が身に着けるものも普段から1着2~3万円のブランド品。昨年購入したモンクレールのコートは約25万円だったといいます。

しかし、年収1,000万円の手取りが月換算の手取りは60万円ほど。外車のローンにハイオクのガソリン、タワーマンションの住宅ローン・管理費・駐車場代など、贅沢すればほとんど残りません。

また、年収1,000万円稼ぐ人の妻こそ貯蓄ができない元凶になりやすいです。Aさんの妻は、高級ブランド品の中でもハイレベルのシャネルやエルメスしかプレゼントに認めません。なぜなら、高級住宅街にある幼稚園に子供を通わせていることもあり、ママ友の目が気になるから。そのため、誕生日とクリスマスのプレゼントには、30万円~50万円かかるようです。旅行も1泊10万円レベルの高級宿に泊まります。具体的には、リッツ・カールトンや星のやレベル。当然、このようなお金の使い方をしていたら、あっという間にお金は無くなります。実際にAさんは、資金繰りが回らずカードローンに手を出すこともあるようで……。

上述した通り、月換算60万円も手取りがあれば、年に100万円~200万円の貯蓄は難しくないはずです。年収1,000万円を超える収入があるのにお金が貯まらない人は、お金の使い方を見直す必要があるといえるでしょう。見栄を張る生活を止めなければ、いつまでたってもお金は貯まりません。

そもそも、年収1000万円を超える会社員は、東京や大阪などの都市部に勤務しているケースが多く、貯蓄が貯まりにくいという事情もあります。

なぜなら、都会は住宅価格や駐車場代が高いので、それだけでも大きな出費となるからです。東京23区の新築マンション価格の平均は、2022年4月時点で7,344万円でした。フルローンで35年間、変動金利で借り入れすると月々の返済額は約19万円です。加えて管理費・共益費・駐車場代となれば、月25万円程の出費に……。港区などの好立地マンションを選べば、さらに負担は大きくなります。

また、スーパーに並ぶ食品の値段が地方と比べて高かったり、外食の費用が高かったり……。その結果、特別贅沢しているつもりではなくてもどんどんお金が減ってしまうなんてこともあるでしょう。

教育でも見栄を張る年収1,000万円プア

さらに、子供の教育にお金をかけすぎてしまうのも年収1,000万円超なのにお金が貯まらない理由の一つです。収入が高い人は、子供にも良い環境を与えようと早期教育に力を入れる傾向にあります。文部科学省が行った平成30年度の調査によると、公立小学校における1年間の学習費が約32万円に対して私立小学校の学習費は約160万円です。月換算すると約13万円なので、家計へのインパクトも大きいといえます。

年収が高いと習い事に熱心になる家庭も多いです。実際に、年収が高く教育熱心な家庭が多い地域に住んでいる知人Bさん(30代後半・夫は大手商社勤務)の話によると、幼稚園児の段階で週5-6回習い事や塾に通わせ、月に5万円ほど支出している家庭がほとんどだそうです。これから年齢が上がるにつれて習い事や塾が増えれば、家計をさらに圧迫することになるでしょう。

近年、都心では中学受験ブームが過熱しています。特に人気のある中学受験塾大手のSAPIX(サピックス)へ小学1年生から通わせる人も増えているようです。SAPIXの料金は、低学年のうちは年間約20万円ですが、高学年になるにつれ通う日も増えて6年生には約130万円に!無事に私立中学に入学できたとしても、大学・大学院まで年間100万円超の学費がかかり続けることを忘れてはいけません。

大切な子供へ惜しみなく投資したい気持ちもわかりますが、老後資金の貯蓄ができずに老後破産することがないよう上手くコントロールしたいものです。

年収1,000万円世帯は所得制限の対象にもなりやすい

現在の日本では、年収1,000万円前後で所得制限の対象になることが非常に多いです。

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