日経平均6万8,000円突破!プロ運用者が明かす「狂乱相場」の裏側と資金集中のカラクリ
日経平均株価がわずか1週間という短期間で6,000円幅もの急騰劇を演じ、史上最高値となる6万7,000円の金字塔を打ち立てた。さらに6月3日の前場で一時的に6万8,000円台も突破した。市場全体が熱狂と疑心暗鬼に揺れるこの強烈な大相場の最前線で、機関投資家は一体何を見極め、どのように牙を研いで立ち回っているのか。
今回は、国内グロース・IPO株のスペシャリストであり、独自のファンダメンタルズ分析で市場のミスプライスを突くfundnote株式会社のファンドマネージャー・川合直也氏を直撃。足元の激動するマクロ環境の深層から、決算発表シーズンを経て浮き彫りになった「市場の本質」を語ってもらった。(取材日:2026年5月28日)
(取材・文/ちょる子)
みんかぶプレミアム連載「fundnote 川合・神谷の目」
目次
激動のマクロ環境:地政学リスク急落からの「驚異的なリバーサル」
まず、足元の日経平均6万7,000円到達に至るまでの、ここ数ヶ月に及ぶドラマチックな市場の地殻変動について振り返ってもらった。川合氏の目には、現在の相場は極めてボラティリティが高く、運用者の真価が試される激しいものとして映っている。
「2026年もまだ半年経っていませんが、株式市場は目まぐるしく、非常に激しい雰囲気を感じています。時計の針を少し戻すと、3月にはイラン紛争を巡る緊迫化への懸念からマクロセンチメントが一気に悪化しました。これまで市場を牽引してきたモメンタム株をはじめ、多くの投資家が買い持ちしていた主軸銘柄たちが堰を切ったように暴落していったのは記憶に新しいところです。
しかし、そこからの復元力が凄まじかった。4月から5月にかけて、市場の悲観論をすべて吹き飛ばすようなとんでもない買い戻し、いわば強烈な反転が押し寄せたのです」(川合氏)
突如として湧き上がった過酷な地政学リスク。市場が一瞬にして凍りついた局面でも、相場の底流を支え、牙を剥くような反発力を生み出した源泉は何だったのか。川合氏は、投資家たちの間に共有されていた「ある強力な確信」を挙げる。
「イラン情勢が泥沼化する懸念が漂う中でも、グローバル資本の根底を支えていたのは『世界的なDXや先端テクノロジーへの投資は、地政学リスクがあろうとも絶対に止まらない』という強固なコンセンサスでした。だからこそ、一度は過剰に売り叩かれた最先端セクターへ再び猛烈な勢いで資金が買い戻され、そのエネルギーに引きずられる形で日経平均も一気に高値を駆け上がったのです」
AI・半導体への資金集中。「消去法と積極法」が生む二極化の必然
日経平均が大台に乗ったとはいえ、個人投資家からは「特定のセクターしか上がっていない」という極端な二極化への戸惑いの声も少なくない。この資金偏重現象について、川合氏は独自の分析を用いて、その背後にある冷徹な合理性をロジカルに解き明かす。
「足元の資金の一極集中は、プロの資金運用のロジックからすれば非常に理解しやすい現象です。例えばTOPIX構成銘柄を見渡すと、地政学リスクに伴う資源・エネルギー高騰のコスト増を価格転嫁できず減益リスクに直面する企業や、構造的に需要が冷え込む業界が日本市場の大半を占めています。
一方で、今資金を激しく吸い上げている最先端テクノロジーセクターは、マクロのコストインフレの悪影響をほとんど受けません。どれほど原材料が高騰しようと、世界のトップ企業は未来の覇権を握るための巨額投資を断固として実行するからです。
つまり、リスクだらけの市場において『ここ以外に逃げ場がない』という消去法的な選択として優れていると同時に、純粋に成長率の高い銘柄を厳選しようとする積極法的なアプローチから見ても、必然的にそのセクターに行き着く。この『消去法と積極法の交差点』に位置する最強の銘柄群だからこそ、世界中のマネーが集中しているのです」