キオクシアどうする? 投資歴10年超の著名投資家が教える高値掴み対応策と注目銘柄

本稿で紹介している個別銘柄:スカパーJSATホールディングス(9412)、アジアパイルホールディングス(5288)、鎌倉新書(6184)
一時7万2000円台をつけた日経平均株価ですが、「中身を見ると別にそんなに高くもない」と語る投資家がいます。
小型グロース株を主戦場に投資歴11年、株式勉強会の主宰者としても知られる個人投資家・キリンさんです。
キリンさんがいま注目している銘柄3選を伺いました。インタビュー連載全2回の最終回。
高値掴みの損切りルール、そして危険信号
ーーキオクシアのようにボラティリティの激しい銘柄で高値を掴んだ場合、ルールとしてはどうするのが理想でしょうか。
11万円で買った人がいまも持っているとしたら、それは明らかに間違いだと思います。100株でも8万円まで下がってしまったら300万円の含み損ですから資金的にも重いです。ただ、繰り返しになりますが、誰かが必ず一番上を掴むのが株式投資というゲームで、それ自体は仕方のないことですし、私も高値を買うケースはあります。キオクシアの場合、指標的に割高というわけではないので、いずれまた10万円を超えると私は見ています。だから11万円という高値で買ったこと自体を否定する気はまったくなくて、問題なのは、そこからの含み損を「耐えてしまっている」ことの方だと思います。
ーーでは、どこで切るべきですか。
1日の値動きが激しすぎてなかなか難しいのですが、せいぜい10%でしょう。今回のケースなら1日で切る判断が必要だったかもしれませんが、傷口を広げると取り返すのが大変になりますし、そもそも取り返すという表現を使っている時点で、すでに危険な思考に入りかけています。そのため、損切りは額が小さいうちに、早めに行うのが結局は正しいのだと思います。
ーーそれは、上昇相場でも必ず調整が入り、「下がる時にどこまで深く沈むか読めない」ということを身をもって知っているからですね。
持ち株が半値や3分の1になる経験は山ほどしてきました。「損切りしなければリバウンドして結局勝てたのではないか」という話は常についてまわるのですが、それは結果論でしかありません。
キオクシアも8万、9万、10万円で買った人が相当数いて、その中には売りたくて仕方がない人もいるでしょうから、高値更新には少し時間がかかると思います。
ーー損切りをあらかじめルール化することが大事、ということですね。
ルール化してもなかなか守りきれないのが人間の弱さですから、実のところ、ある程度「諦められる」タイプかどうかというところが重要なのかもしれません。
一極集中相場は続くのか
ーーAI・半導体銘柄へ資金が集中しているという考えはいまも変わりませんか。
半導体・AIという大きな文脈で言えばそうなのですが、騰落率で見れば一極集中に見えても、他の主力銘柄も堅調に推移しているのを見ると、決して「それ以外は上がらない相場」ではありません。全体としては良い相場だと思います。ただ、建設あたりは弱くて、セクターローテーションの読みが難しい局面ではあります。
ーーセクターローテーションには、どう対応していくべきでしょうか。
転換のタイミングは読めないので、幅広くウォッチしてついていくしかないのでしょう。「このセクターの上値が鈍化してきた」と感じたら着眼点を変える。それでも「次に何が来るか」まではわからないのですから、相場では常に新しいことが起こるという謙虚さを持って、上がり始めた銘柄をきちんと見つけて拾っておくというのが現実的な対応だと思います。
宇宙関連の入り口はここから?
ーーキリンさんがいま注目している銘柄を教えてください。
まずはスカパーJSATホールディングス(9412)。宇宙関連銘柄として知られて久しい会社ですが、元々は放送の会社で、複数の収益源がある中で宇宙関係も手掛けているという構造ですから、事業基盤が堅く、通信衛星などの実績も豊富にあります。
そのため、宇宙関連で何を買えばいいかわからないという人は、まずここから入るのがいいと思っています。
いまは宇宙セクター全体が、スペースXへの期待で先行して上がった分だけ調整していて、スカパーですらピークから半値近い水準まで下げています。買いやすいところまで来ていると見て、私も少しだけ買ってみました。第1四半期決算の発表は8月上旬です。宇宙関連は赤字企業が非常に多いのですが、私は赤字企業を買えないタイプなので、必然的にこういう銘柄に行き着くという事情もあります。