なぜ、FIREした途端に生活費が増えるのか。資産3億円投資家が暴く「FIRE後に資金ショートする人」の残酷な共通点
2026年、「資産1億円を貯めて仕事を辞めたい」とFIRE(早期リタイア)を夢見る人は後を絶たない。SNSには節約術や投資の成功談があふれ、早期リタイアこそが人生のゴールだと信じて疑わない人も多いかもしれない。
しかし、投資スクール『Financial Free College』代表講師で、自身も33歳で純資産3億円を築きFIREを達成した“ライオンじゅんさん”こと金盛潤一氏は、「完全に労働から解放されることを目的にすると、相場が少し崩れただけで地獄を見ますよ」と警鐘を鳴らす。
長年の我慢の末に1億円を達成した投資家たちが、なぜ数年で資金ショートの恐怖に怯えるのか。
金盛氏に、FIRE志願者が陥る「極限の節約」の落とし穴と、達成後も会社を辞められない人たちの残酷なリアルについて話を伺った。インタビュー連載全3回の第2回。
FIRE民が見落とす“若さの価値”
ーーFIREを目指すあまり、娯楽や交際費を極限まで削る20〜30代が増えています。
目標に向かって支出を抑える姿勢は素晴らしいですが、我慢の期間が長すぎる場合は非常に危険です。
例えば、体力も時間もある貴重な10年間、旅行にも行かず、友人との外食も断り、すべてのお金をインデックスファンドに回す。
たしかに証券口座の数字は増えますが、それと引き換えに若いうちにしかできない経験をすべて失っています。
ーーお金は後からでも増やせますが、過ぎ去った時間は戻ってこないのですね。
はい、FIREに向けた過度な節約期間は「長くて5〜10年」が限界だと考えています。それ以上、20年も30年も自分の人生の楽しみを犠牲にするのであれば、手段と目的が完全に入れ替わっています。
1万円のサービスを、1万円で楽しめるうちに使うことも立派な投資です。
インフレで値段が2倍に上がる未来に備えてひたすら我慢するより、今、経験に投資したほうが、トータルの人生の幸福度ははるかに高くなるはずです。極限の節約で若さをすり減らすのは、投資の世界における最大の機会損失と言えます。
給料があるなら「配当」はいらない?
ーー資産形成のモチベーションとして、毎月分配金が出る「高配当ETF」を選ぶ人も多いです。
リタイア直前の出口戦略としては有効ですが、まだ20代や30代で、今後も長く労働収入がある人が高配当ETFを買うのは非常にもったいない行動です。
労働で十分な生活費を稼げているのに、わざわざ成長性(キャピタルゲイン)を犠牲にしてまでインカムを取りに行く合理性がありません。
ーー労働収入があるうちは、配当よりも元本の成長を優先すべきということでしょうか。
その通りです。配当金を受け取るたびに約20%の税金が引かれます。生活費に困っていないのに税金を払い、それをまた再投資するのは、複利の効率を大きく落とす原因になります。高配当ETFは、元本を雪だるま式に増やすためのツールではありません。
資産形成期はS&P500や全世界株式などでしっかりと元本を大きくする。そして、いざ「明日から働かなくても生活できる」フェーズに入って初めて、インカム重視のポートフォリオにシフトする。
今の日本の個人投資家は、自分の置かれている段階と投資手法がチグハグになっているケースが散見されます。