親に「遺言書を書いて」は逆効果。“財産が少ないから大丈夫”も危険…70歳から始めたい認知症・相続対策
「うちの親、遺言書とか書いてくれないかな」――そう考えて、いきなり本人に切り出した瞬間、関係が気まずくなった経験はないだろうか。
前回までは、法定後見・家族信託・任意後見という3つの制度の中身を、司法書士の村山澄江氏に聞いた。今回は、お金をかけずにできる対策と、親にどう切り出すべきか、そして専門家に相談すべきタイミングについて聞く。全4回の最終回。
みんかぶプレミアム連載「取り返しのつかない相続」
高額な制度を使わなくてもできる。銀行で利用できる認知症への備え
これまでの「法定後見」「家族信託」「任意後見」以外にも、事前にできる対策があります。それが銀行等、金融機関の「代理人登録」と「予約型代理人サービス」です。
銀行の「代理人登録」とは、親が元気なうちに窓口で手続きをし、子ども等を代理人として登録しておく仕組みです。これを利用すると、子どもが預金を下ろすことはもちろん、銀行によっては定期預金の解約権限まで付与されているケースもあります。さらに、代理人カードを発行してくれるところもあるので、親から通帳やカードを預かることなく、子ども側も別のカードを持つことが可能になります。
もう一つが「予約型代理人サービス」です。登録した時点では子どもに代理人の権限はありませんが、親が認知症になった等、診断書を提示すれば、その後は子どもが代理人となって預金を引き出せるようになる仕組みです。
「代理人登録」や「予約型代理人サービス」の利用料は金融機関によって異なります。無料で利用できる金融機関もありますが、契約時や代理取引の際に手数料がかかる場合もあるため、事前に取引先の金融機関へ確認しておきましょう。
相続の話を嫌がる親に、どう切り出せばいい?
親に対策の話を切り出すとき、避けるべきなのが「遺言書を作ってほしいんだけど」という直球の一言です。親御さんによっては、気分を損ねることもあります。
そこで提案の一つとして、祖父母の代の相続の話を聞くところから始めてみてはどうでしょうか。「おじいちゃん、おばあちゃんの相続の時、どうやって分けたの?」「大変だったことある?」と聞けば、自然と経験談を語ってくれやすくなり、自分の家族の将来の話につながっていきます。その他、「お墓の管理費っていくらかかっているの?」などのテーマから話してみるのもおすすめです。実際に、お墓の管理に関しては、お布施を払っているのか?など、子どもは意外と知らないことが多いです。