のび太のメガネは「顔の1/3」!? 藤子風パロディ漫画の第一人者・北村ヂンが明かす“ロジカル描画術”と、AIを味方につける「自分専用ツール開発」の裏側
「藤子不二雄先生風」をはじめ、様々な有名漫画の絵柄を自在に描き分ける圧倒的なパロディ技術で人気を博す北村ヂン氏。しかし、その技術は単なる感覚的なものではなく、極めてロジカルな「数値分析」によって成り立っているという。
さらに、生成AI時代の波が押し寄せるクリエイティブ業界において、同氏は「AIに絵や文章を描かせるのではなく、自分が快適に作業するためのツール自体をAIで作る」という斬新なアプローチで生産性を爆発的に高めている。
特集第2弾となる本稿では、パロディイラストの秘密や「漫画的イラスト」の強み、そして液晶タブレットの左手ツールや自作AIエディタを駆使した最新の作業環境について語っていただいた。全3回の第2回。
みんかぶプレミアム連載「在宅副業、在宅ワークで稼ぐ術」
ドラえもん、『まんが道』への憧れ。絵柄をそっくりに似せるための「エクセル分析」
特に似ようとしなくても、もともと僕の描くキャラは、基本的に藤子不二雄先生(藤子・F・不二雄先生、藤子不二雄Ⓐ先生)の絵柄がベースになっています。
僕らの子供時代はまさに藤子不二雄ブームの全盛期で、月曜日から日曜日まで藤子アニメが放送されているような時代でした。だから当時の子供で藤子作品が嫌いな人なんていなかったんじゃないですかね。そんな中で、NHKで藤子不二雄Ⓐ先生の自伝的漫画『まんが道』のドラマ版が放送されたんです。それを見た子供たちはみんな「漫画を描きたい!」となりました。僕もその一人で、ノートに漫画を描き始めました。
大人になってから本格的に「誰かの絵柄にそっくり似せて描こう」と意識するようになったのは、ここ10年くらいのことです。それからは、ただなんとなく真似して描くのではなく、漫画の中のキャラクターの「比率」を徹底的に分析して数値化しています。
例えば定規などを使って上下の比率を測るんですが、ドラえもんの「のび太くん」なら、顔全体の丸の大きさを「1」としたときに、メガネの大きさは「1/3」くらい。これが「しずかちゃん」になるとメガネや目の比率は「1/4」くらいになる……といった独自の法則性があるんです。
普通の美術やデッサンでは人体解剖学的な比率を学びますが、僕の場合は「漫画のデフォルメの中にある固有の比率」を解剖するように分析しています。元ネタの絵柄を正確に再現した上で、そのまま出すと問題があるので、パロディとしてオブラートに包んでユーモアを交えてアウトプットする。この手法を確立したことで、多くの方に面白がってもらえるようになりました。