中国の軍拡、トランプ政権の圧力…日本の防衛産業はこれからどう変わるのか
日本の防衛費は2025年度、関連経費を含めて約11兆円規模となり、GDP(国内総生産)比2%の目標を2年前倒しで達成した。防衛・軍需産業の需要が高まるなか、今後どのように推移していくのだろうか。防衛省防衛研究所主任研究官の小野圭司氏に話を聞いた。(聞き手・望月悠木)全4回の第2回。
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冷戦後は「右肩下がり」だった
――防衛・軍需産業の需要は、ずっと右肩上がりだったのですか。
どちらかというと下がっていました。米ソ冷戦が1991年に終わって日本周辺の軍事的な脅威が和らぎ、部隊や主要装備品の数も防衛予算も減額となり、防衛関係の契約額も減少。防衛事業をやっていた企業の撤退も出てきました。「この企業がないと部品が作れない」という場合には、防衛省が事業を引き継ぐ会社を探すケースも珍しくなかったです。
――再び増え始めたきっかけは、ウクライナやガザ地区の戦争になるのですか。
ウクライナもガザも、日本から見れば地球の反対側の話で、主要因とは言えません。きっかけは日本周辺の緊張の高まりです。中国は台湾を囲む軍事演習を繰り返し、核やミサイルの数も急増させました。北朝鮮はミサイル発射を続け、ロシアもウクライナで戦争をしながら北方領土で軍事演習を頻繁に行い、領空侵犯も起きています。日本は、周辺の緊張が和らぐと防衛費を減らしてきました。「今は緊張の高まりに応じて準備をしている」ということです。
――ちなみに、防衛需要が産業全体の成長を押し上げる構図は期待できますか。
アメリカは防衛関連市場が日本の防衛関連市場とは比較にならないほど大きいため、そうした期待があるかもしれません。しかし、日本は圧倒的に民生部門のほうが大きい。防衛需要が上がったとしても、「マーケットが少し広がった」という程度にとどまると思います。
――今後の需要の先行きは読めますか。
なかなか読めません。米ソ冷戦が終わると防衛費は減り、注文も減りました。しかし、1985~86年の時点で、数年後に冷戦が終わると予想できた人は誰もいませんでした。あの時期に戦闘機や戦車を作るために設備投資をしていたら、数年後には設備投資を十分に回収できなくなったでしょう。装備品の生産量は市場で決まるのではなく、周りの国際情勢で変わるものです。事業者としては、そこがリスクと言えます。