今井絵理子「国会ポーズ写真が炎上」怒りの2千件コメ殺到…まだパリ報告書未提出!自民党のボディとソウルが腐敗している

 あのお騒がせ議員のSNS投稿がまた物議を醸している。自民党の参議院議員今井絵理子氏のXへのポストだ。ただ投稿自体は極めて普通「第214回臨時国会が閉会しました。本日、衆議院が解散し10月15日公示、27日投開票の総選挙が行われます。皆さんの一票が未来をつくります。」と選挙を告知するもので、これだけみれば炎上要素はない。しかしそれでもSNSでは怒りのコメントなどが2000件以上も殺到。「今井絵理子氏」がトレンド入りするほどの騒動となった。一体何が起きているのか。経済誌プレジデントの元編集長で作家の小倉健一氏が解説するーー。

目次

報告書も早くあげてほしい。やましくないなら、早く…

 衆議院選挙の公示を迎え、各党が選挙戦に突入する中、自民党の参議院議員である今井絵理子氏がX(旧Twitter)に投稿した内容が激しいバッシングを受けている。問題視されているのは、10月9日の投稿だ。

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第214回臨時国会が閉会しました。

本日、衆議院が解散し10月15日公示、27日投開票の総選挙が行われます。

皆さんの一票が未来をつくります。

#今井絵理子 #自民党 #総選挙

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 投稿自体は、一般的な政治家のコメントだが、問題となっているのは投稿とともにアップされた2枚の写真である。国会内の自民党控室で、ポーズを決めて微笑む今井参議院議員の姿が映し出されており、この写真が大きな反響を呼んだ。

<投稿日からジワジワと書き込みが増え、衆院選告示日の翌日に投稿1週間を迎え、コメントは2000件以上に到達。Xでは16日、「今井絵理子氏」がトレンド入りする事態となっている。「これ自体は本来炎上要素ではないが 有権者の求めを無視するのに こういう演出を載せるから火がつく者が現れるんだろうな」「アイドルしたいならアイドルしてほしい。あと報告書も早くあげてほしい。やましくないなら、早く…」「コレに難癖付ける民度の低さ」などとのコメントが寄せられた>(日刊スポーツ、10月16日)

 このように報じられているように、今井議員の行動には多くの意見が寄せられている。特に問題視されているのは、自民党が視察と称して行ったパリ旅行に関する報告書だ。今井議員が、視察名目でパリで観光をしていたのではないかという疑いがあり、その報告書が未だに国民に公開されていないことが、今回の批判を再燃させた。

無自覚な「セレブリティ文化」

 今井議員は無自覚なのかもしれないが、今回の写真には「セレブリティ文化」と呼ばれる要素が含まれており、これは欧米社会でもよく国民の反発を招く行動である。今井議員がいくら「自分は庶民的な感覚を持っている」と主張したところで、実際には自費を使わずにパリへ行き、国会の中で政治活動とは無関係のポーズを取る姿を見せることは、多くの国民に「セレブリティ文化」の象徴として受け取られてしまうのである。

 例えば、ロッテルダム・エラスムス大学のリースベット・ヴァン・ズーネン教授が発表した『セレブ政治の視覚的挑戦?「Grazia」誌における女性政治家』(2011年)の研究論文には、以下のような指摘がなされている。この論文は、イギリスのファッション誌『Grazia』に掲載された女性政治家のフォト誌面を題材に、セレブリティ文化と政治の結びつきについて詳細に分析したものである。

<近年、女性政治家がセレブリティ文化に巻き込まれ、政治的なメッセージよりも外見が注目されることが多くなっている。女性がセレブリティ的な存在として消費される一方で、政治的な信頼性が低下するリスクがある>

<女性政治家がセクシュアライズされたイメージで描かれることは、彼女たちが実際にどれほどの政治的影響力を持っているかを軽視される要因となっている>

女性政治家がセレブリティ的な視覚表現に巻き込まれることにはリスクが伴う

 2010年に行われたイギリス総選挙を前に、ファッション誌『Grazia』は主要政党の女性候補者を特集した9ページにわたるフォト誌面を公開した。このフォトシュートはメディアで大きな話題となり、賛否両論の反応を引き起こした。メインストリームの新聞はこの誌面を支持し、女性政治家が若く魅力的であることを強調した。一方で、フェミニストの批評家やブログでは、女性政治家の外見に焦点を当てることで、彼女たちを性的に消費するものだとして、政治的に不適切であるとの批判があった。

 この論文は、次のようにも指摘している。

<女性政治家がセレブリティ的な視覚表現に巻き込まれることにはリスクが伴う。外見に注目が集まりすぎると、政治家としての実力や信頼性が低下する可能性がある。実際、フォトシュートの中で労働党の候補者は、性的な印象を強く感じさせるスタイルで描かれており、政治的には弱く見える構図が採用されていた。このような視覚的表現が、女性政治家の評価に悪影響を及ぼす可能性がある>

今井議員は、根本的に何かを勘違いしているようだ

 今井絵理子議員が、このようなリスクにまったく無自覚であることは、いまだに(2024年10月16日現在)当該投稿を削除していない点からも明らかである。仕事をしているのかという疑念を抱かせるような写真を、自ら公開することは極めてリスクの高い行為だ。これはパリへの「視察」と称した、自費でない旅行においても同様である。上記論文が指摘するようなセクシャルなカットはないものの、本来の国会議員の仕事とは無関係な場面の写真を公開することが、どれほど問題を引き起こすかをしっかりと認識するべきだろう。

 今井議員は、根本的に何かを勘違いしているようだ。X上で政治家が投稿する自撮り写真(セルフィー)は、戦略的な自己プロモーションとして活用されるべきものである。例えば、『Twitter上で最も人気のある政治家の自撮り写真のハイブリッドコンテンツ分析』(2015年)という研究論文には、次のように記されている。

国民から反感を買うだけであることは明らか

<セルフィーは、政治家が有権者に対して親近感を与えるための効果的なツールである。特に、セルフィーは、政治家が政治的な立場を超えて「個人」としての姿を見せる手段として機能しており、有権者との距離を縮め、支持を集めることができる>

<分析した中で、最も多くのセルフィーを投稿したのはコリー・ブッカー(アメリカの民主党議員)で、彼は96枚のセルフィーを投稿していた。他の政治家では、アーノルド・シュワルツェネッガーが12枚、ジョン・マケインが13枚のセルフィーを投稿している>

<セルフィーは、その撮影方法やシチュエーションによって異なるフレーミング効果を持つ。例えば、バラク・オバマやアル・ゴアのセルフィーは、政治的な会議や公共の場で撮影され、彼らの政治的立場や活動を強調するものであった。一方で、コリー・ブッカーやアーノルド・シュワルツェネッガーは、ジョギングや食事など、プライベートな瞬間を撮影し、親しみやすいイメージを強調していた>

 この研究からもわかるように、セルフィーはその状況に応じた適切な使い方が求められる。単に、パリの観光地の前でパシャリ、国会の控室で決め顔でパシャリといったような写真は、国民から反感を買うだけであることは明らかであろう。

 特に、今井議員がパリ視察の報告書を出すと言いながら未だに公開しておらず、その活動に対して国民が疑念を抱いているタイミングで、このような写真を投稿するのは極めて不適切である。議員活動に真剣に取り組んでいるのかどうかを問われている中で、こうした行動は政治家としての信頼をさらに損なう結果となるだろう。

「沖縄に鉄道を通せ」「障害者支援のために予算を増やせ」

 私は、今井議員がきちんと仕事をしているのか気になり、実際に国会の議事録を読んでみた。しかし、彼女の主張は「沖縄に鉄道を通せ」「障害者支援のために予算を増やせ」といったものが中心で、具体的な財源や実現手段についての言及はほとんどなかった。これでは、まるで野党政治家のような主張に留まっているだけであり、肝心の「どうすれば日本が経済的に発展できるのか」という視点が欠けていると感じざるを得ない。鉄道を敷け、重福祉政策を推進しろと言うのは簡単だが、それを実現するための財源をどう確保するかについては一切触れられていない。このような主張では、責任ある議会活動をしているとは到底思えなかった。

 また、日本では自民党が効果の乏しい補助金をあちこちにばらまくことで、国民にさらなる税負担を強いている。この裏には、自民党内に、ばらまいては税金を増やし、増税してはばらまくというビジネスモデルが存在していると言わざるを得ない。補助金の乱用は以前から見られていたが、近年ではその規模や頻度が急速に拡大しており、国民への影響がますます深刻化している。特にここ数年で、こうした現象は加速しており、国民の負担が増大していることは明白である。今井議員の主張も、こうした流れの一環に過ぎないようにしか見えないのである。

 彼女はタレントとしての知名度を活かして選挙に当選しているが、その知名度があるおかげで、責任ある活動をしなくても票を集め、選挙に落ちる心配もないのだろう。しかし、せめて自分が行っている活動に対してもっと自覚を持ち、国民に対して責任を果たして欲しいものだ。

 政界において、タレント出身の政治家はあくまで「客寄せパンダ」のような存在であり、政治集会に出席して候補者の人気を引き上げる役割を果たしているに過ぎない。こうした現象こそが、日本の政治の構造的な腐敗を象徴しており、その根源に他ならないのである。

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この記事の著者
小倉健一

1979年生まれ。京都大学経済学部卒業。国会議員秘書を経てプレジデント社へ入社、プレジデント編集部配属。経済誌としては当時最年少でプレジデント編集長就任(2020年1月)。2021年7月に独立。現在に至る。 Twitter :@ogurapunk、CONTACT : https://k-ogura.jp/contact

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