AIが破壊する「教育」の常識と、知識人の新たな稼ぎ方――東大医学部生が予測する“エリート主義への回帰”
生成AIの進化によって、既存のホワイトカラーの仕事が奪われていく——。そんな時代に、「教育」や「大学」のあり方、そして個人の「稼ぎ方」はどのように変化していくのか。 東京大学理科一類を卒業後、外資系企業でエンジニアとして働き、現在は再受験を経て東京大学医学部に在学中のインフルエンサー・Saki氏が考察する。全3回の第3回。
みんかぶプレミアム連載「東大理三の人生論」
目次
「計算力」は無価値になる。東大入試が示すAI時代のテスト形式
まず、教育現場についてですが、すでにChatGPTやGeminiなどの生成AIが凄まじいレベルに達しており、子供たちの「宿題」というシステムは半分崩壊していると言っていいでしょう。
これからの受験やペーパーテストにおいて、「AIの方が正確にできること」を人間にやらせる意味はありません。例えば、積分の計算をいかに正確に早く解くか、といった計算力はもう価値を持ちません。それよりも、「どうやって解くか」という方針を立てる能力が重要になります。
具体的に数学の試験であれば、論理を積み上げる「証明問題」が中心になるはずです。問題数を減らし、より難易度の高い証明問題にじっくり取り組ませるような形式が、AI時代に求められる能力を測るのに適しています。
知識についても同様です。細かな用語を暗記することには価値がありませんが、「世界のどこにどんな情報があるのか」「各分野がどう関連しているのか」という全体像のマクロな地図(インデックス)を頭の中に持っておくことは極めて重要です。それがないと、そもそもAIに対して何を質問すればいいのかすら分からないからです。
また、英語のライティングはAIに投げれば済みますが、東大入試にあるような「要約問題」は絶対に無くなりません。AIが出してきたものをそのまま受け取るのではなく、何を入れ、何を削るかという「取捨選択」を行い、他人が読んで美しいと思えるものに仕上げる「編集能力」こそが、AI時代に人間が担うべき本質的な仕事だからです。