得をしようとすれば人が離れていく…サイバーエージェント、阪急阪神HDの大株主が感じる「成功者たちの流儀」
金利が上がり、住宅ローンに頭を悩ませる。AIが台頭し、自分の仕事の先行きに不安を覚える。
現在、ビジネスパーソンの多くが将来不安に駆られ、金融資産をどう増やすかに目を向けている。こうした多くの人の行動に対して「そのままでは将来不安は決してなくならない」と断言するのが、実業家で投資家の嶋村吉洋さんだ。
嶋村さんはサイバーエージェントや阪急阪神ホールディングス、朝日放送グループホールディングスの大株主であり、テレビ東京ホールディングスの個人筆頭株主としても知られる。運用する資産は数百億円規模にのぼる。
10代で起業して以来、実業家、投資家、映画プロデューサーとして多方面で活躍してきた嶋村さんは「株や不動産を買う前に、まず築くべき資産がある」という。
莫大な資産を築いた投資家が語る「豊かになるためのステップ」を聞く。連載全3回の最終回。
目次
なぜ、毎朝ジムにいる人に声をかけ続けたのか
10代の頃、私は毎朝早くにジムへ通い、そこにいる年上の先輩たちに、片っ端から挨拶をして回っていました。
「おはようございます」と声をかけ続けるうちに、「若いのがいるな」と顔を覚えてもらい、かわいがってもらえるようになったのです。私の人脈づくりの原点は、この単純な繰り返しにあります。
こう言うと、自分は人見知りで口下手だから無理だ、と感じる人がいるかもしれません。
しかし人脈は、才能で決まるものではありません。誰にでも築けるものです。
ポイントは、三つあります。付き合う場を選ぶこと、心地よい時間のうちに次の約束をすること、そして見返りを求めず先に与えることです。今回は、この三つを順にお話しします。
まず、付き合う場を選ぶことから始めましょう。ありがちなのは、人脈を広げようと、交流会や名刺交換会に片っ端から顔を出すことです。
しかし、そうした場に通うほど、人脈はかえって痩せていきます。
集まっているのは自分の商品を売りたい人ばかりで、互いを「見込み客」としか見ていないことが原因です。
名刺が増えても、心の通った関係は残りません。選ぶべきは、共通の目的や目標がある場です。ただの飲み会や、たまたま居合わせただけの集まりから、深い関係は生まれません。
地域の清掃活動でも、資格取得の勉強会でもいい。
何かを共に目指す場に身を置いて、はじめて利害を超えた関係が育ちます。
身近になければ、自分で小さくつくればいい。
同僚を数人誘い、朝の30分だけ勉強会を開く。それだけで、立派な「目標のある場」です。
会社勤めの方なら、通い慣れたジムで顔なじみと言葉を交わすことから始めてもいいし、関心の近い人が集まるワイン会に、思いきって足を運んでみるのもいいでしょう。
大切なのは、会う回数を意識して増やすことです。
一度きりで終わらせず、同じ顔ぶれと繰り返し会える場に身を置きましょう。
「また今度」と言った時点で、その縁は切れている
場を選んで人と出会えたら、その場で次に会う約束まで取ってしまうことです。
人脈が広がらない人ほど、ここで約束を交わさず、後日あらためて連絡しようとして、そのまま縁を途切れさせてしまいます。
「また今度」は、多くの場合、二度と会わないことの、やわらかな言い換えなのです。
なぜ、後日ではなく、その場でなければならないのか。
人と会う時間の楽しさは、ビールによく似ています。一杯目のよく冷えたビールは、この上なくうまい。ところが二杯、三杯と重ねるほど、同じビールでも、感動は薄れていきます。
人と過ごす時間も同じで、いちばん心が弾むのは会いはじめで、長居するほど、その楽しさは少しずつ目減りしていくのです。
うまくいかない人は、満足しきるまで話し込み、互いに満腹になってから「また会いましょう」と誘う。それでは、相手の心は動きません。
まだ物足りない、もっと話したい、と思われているうちに、次の約束を交わしておくのです。