「老後2000万円」では足りない。FPが明かす、一生お金に困らないライフプランの正しい作り方
『お金持ちはケチだ』『お金は汚いもの』。こうした固定観念が、日本人のお金との向き合い方を長年縛ってきた。しかし実際に富を築いた人たちの行動を見ると、その実像はまったく異なる。節約家でも浪費家でもない--。では、彼らは何が違うのか。
ファイナンシャルプランナーの立川健悟氏も、こうした日本人のお金に対する固定観念を問い直す一人だ。不動産テック企業の営業職として富裕層の思考習慣を学び、自ら実践することで金融資産3億円超を達成。
本稿では、立川氏への取材をもとに、値段ではなく価値で判断する「価値思考」から、時間をお金で買う「時間投資」、生活水準と健康の最適化、人生100年時代のライフプランと出口戦略、そして日本人特有のお金への苦手意識の克服まで、豊かな人生を切り拓くためのヒントを紐解いていく。全5回の第4回。
みんかぶプレミアム連載「富裕層たちの黄金法則」
目次
「いくら使っていいかわからない」が最大のリスク
ここまで、価値思考・時間投資・生活の最適化という話をしてきました。しかしこうした個々の判断をいくら磨いても、全体像が見えていなければ意味がありません。お金の使い方の土台となるのが、生涯収支の把握です。
私へのご相談で比較的多い悩みの一つが、「なんとなく将来が不安で、とりあえず投資をしたい」というものです。しかし、いくら使っていいかを知らないまま投資に走っても、何のためにやっているのかわからなくなってしまいます。自分の財布の中身も確認せずに買い物をするのと同じように、生涯収支を把握しないまま投資を始めることは、とても危ういことです。
生涯収支を試算する際のポイントは、将来の収入は少なめに見積もり、定期的な支出は1割増しで計算すること。さらに結婚・出産・住宅購入・子どもの教育費といった一生のライフイベントで生じる不定期の出費も網羅することです。人生全体の収入から逆算して日々の支出を考える。そこまでできて初めて、投資にも意味が出てきます。
もう一つ、忘れてはならない視点があります。ライフプランは一度立てたら終わりではないということです。
子どもの誕生、転職、収入の変化。状況が変われば、計画も都度見直さなければなりません。「子どもが生まれた時に立てたので大丈夫」と何年も放置している方が少なくないのですが、富裕層の方々は常に自分の状況を確認し直し、やめるものはやめ、追加するものは追加するという最適化を絶えず繰り返しています。生涯収支の把握と定期的な見直し。この2つが、すべてのライフプランの土台となります。
人生に3回ある「貯蓄のゴールデンタイム」と、今それが消えつつある現実
生涯収支を把握した上で次に重要なのが、資産を積み上げるタイミングを意識することです。資産形成のチャンスは、人生で3回訪れると考えています。
第1のゴールデンタイムは独身期間です。固定費が低く、収入をもっとも多く貯蓄・投資に回せる時期です。第2は結婚後・子どもが生まれる前。2人で稼ぎながら支出は少ない、貴重な期間です。第3は子どもの自立後〜定年前。子育てコストが消え、役職による収入増も見込めるタイミングです。この3回のゴールデンタイムを意識的に活用できるかどうかが、資産形成の大きな分岐点になります。