決算繁忙期を勝ち抜く「プロのIRの読み方」と、凄腕ファンドマネージャーが密かに狙う「2つの巨大テーマ」
IT投資の資金がAIインフラへと強烈に吸い上げられ、相場が乱高下する中で迎える決算繁忙期。投資家は、既存の枠組みにとらわれず、次なる成長のフロンティアを自らの目で見つけ出さなければならない。
国内グロース・IPO株のスペシャリストであり、独自のファンダメンタルズ分析で市場のミスプライスを鋭く突くfundnote株式会社のファンドマネージャー・川合直也氏。
同氏が牽引するIPOクロスオーバーファンドは、次世代の市場を牽引するメガテーマをどう捉えているのか。
プロならではの視点が光る決算期を勝ち抜くための実践的なノウハウと、川合氏が密かに狙う「次なるテンバガー(10倍株)候補」の条件を余すところなく語ってもらった。
(文:ちょる子、取材日:2026年7月23日)
みんかぶプレミアム連載「fundnote 川合・神谷の目」
決算繁忙期に何を見るか?個人投資家が勝つための「IRの読み方」と「鉄則」
いよいよ決算繁忙期に入ってきた。テーマ選びと同じくらい重要なのが、決算発表時の企業分析だ。
経営陣がどのようなメッセージを市場に届けようとしているのか、その機微を読み取る力が投資成績を大きく左右するのだ。川合氏もまた、決算資料における「テキスト(文字情報)」の重要性を強く説く。
「数字を出すのは当然ですが、私は決算説明資料にある『文字』の情報を非常に重視しています。決算短信からはその数字になった大雑把な要因以外にはあまり読み取れる情報があるわけではないため、決算説明資料を時間をかけて読むようにしています。ただ結果の数字を説明するだけでなく、今であればAIという環境変化に対して企業がどう対応し、定性的にどんな変化が起きているのか。経営者がどれだけ先を見据えた決算力と決断力を持っているか、そのメッセージを読みにいきたいですね」
特に注目しているのが、AIの導入による社内コストの削減や、新規採用の抑制による利益率向上の兆しなど、経営陣の「AI対応力」であり、今後の株価を大きく左右するという。
業績の数字だけを追うのではなく、前四半期から定性コメントがどう変化したか、あるいは「ずっと同じ定型文のまま変化がないか」を読み解くこと。表面的な数字の裏にある「変化への適応力」をテキストから嗅ぎ取ることこそが、これからの決算分析の鉄則となる。
ソフトウェアから「リアル」へ。投資マネーの次なる向かう先
企業の変化を定性情報から読み解くことの重要性がわかったところで、投資家にとって最大の関心事は「では、実際にどのセクター、どの企業に資金を投じるべきか」だろう。
投資マネーの関心は確実にAIインフラへの投資が一巡した次のフェーズへと向かい始めている。有望なテーマであることは分かっていても、具体的にどの企業に投資すべきかを見極めるのは容易ではない。次のテンバガー(10倍株)候補は、多くの投資家がまだ注目しきれていない意外なところに潜んでいる。
注目テーマ①:フィジカルAIと自動運転
川合氏が今、最も意識している領域がある。それは、これまでソフトウェアの世界に留まっていたAIが、ついに物理的な世界(フィジカル)を動かし始める「リアル」への転換点だ。
「AIが発展した先で、そのAIがリアルの世界を変革していく。その方向性として強く意識しているのが『ロボティクス(フィジカルAI)』と『自動運転』です」
AIが物理世界に進出する最も分かりやすい例が「自動運転」だ。川合氏は、IPOを果たした関連企業2社に強く注目している。
1社目は、タクシー配車アプリの「GO」である。
「自動運転銘柄」というより、まずはタクシーアプリとしての純粋な普及率拡大を評価しているという。
「現在、日本の主要都市でのタクシーアプリによる配車率はまだ3割程度です。しかし、昨今の異常な猛暑などの環境変化もあり、今後は流しを捕まえるのではなく、アプリで呼ぶのが当たり前の社会になります。この需要は取り込める可能性が高いでしょう」
将来的には自動運転タクシーのプラットフォーマーとしての期待も剥落しておらず、見逃せない銘柄だ。