「高くても売れる」時代の終焉…成約との乖離率30%拡大・1億円超の在庫1.8倍増。利上げ局面で浮き彫りになる「安易な不動産投資の限界」
新築・中古ともに1億円を超える高騰が続いてきた東京のマンション市場で、変化の兆候が現れ始めている。都心6区の中古平均価格の上昇がストップし、売り出し希望価格と実際の成約価格の乖離が拡大。高額物件の在庫が急増する中、金利上昇の局面も相まって買取転売ビジネスは転機を迎えている。不動産事業プロデューサーの牧野知弘氏が最新データからこれからの不動産投資における戦略を解説する。
みんかぶプレミアム連載「牧野知弘 不動産を斬る!」
暴落ではなく「高止まり」 データが示す中古市場の現在地
2025年度における東京都区部の新築マンション平均価格は1億3784万円と、前年同期比で18.5%もの値上がりとなりました。もはや一般人にとっては新築マンションを買うことはほぼ不可能ともいえる水準にまで高騰しています。新築が厳しければ中古マンションに買い手の関心は集まりますが、中古マンションも同様に1億円を超え、もはやマンションを手に入れることは夢のまた夢とまで言われるようになりました。
月を追うごとに価格が上がっていく状況に「早く、無理をしてでも購入しないと一生買うことができない」といった焦りの声まで聞こえてきています。
ところがここにきて気になる発表が聞こえてくるようになりました。東京カンテイが発表する東京都心6区における中古マンション平均価格(70㎡換算価格)が今年2月になって37か月ぶりに対前月比で下落に転じたと報じられたからです。
下落幅こそわずか0.2%でしたが、3月も0.2%の下落が続き、4月(0.5%増)に持ち直したものの、5月は再び0.4%の下落を記録。中古マンションマーケットに異変が生じているのではないかという見立てが広まり始めているのです。この数値を対前年同月比でみれば、5月においても14.7%の増加を保っていますので、価格が下落に転じたというほどのものではなく、価格はほぼ横ばいになったというのが正しい見立てかもしれません。
広がっていく提示価格と成約価格の差 売り手と買い手の乖離
しかし、もう少し広い時間軸の中で俯瞰すると表1のように中古マンション価格は昨年春を境に、上昇率に陰りが出始めていることが明確に示されています。都心6区では昨年春頃を境に上昇スピードは急速に萎み始めているのです。

さらに注目されるのが、東日本不動産流通機構が発表する中古マンションの新規登録価格と成約価格の差が大幅に乖離してきているというデータです。この数値自体は各月に新規登録された中古マンションの希望売却平均価格とその月に成約した物件の成約価格を集計したものなので、直接比較はできませんが、中古物件の多くがおおむね登録してから3か月程度で売買が成立するので、価格差の傾向を把握することができます。