AI関連なら何でも上がる相場? 金融アナリストが教える「需給の歪み」の見抜き方
日米ともにAI半導体関連株が大幅に上昇した2026年上半期。今後は、過剰流動性という前提が変わらない一方で、「AI関連なら何でも上がる相場」は静かに終わると言います。
複雑な情勢を読み解く金融アナリスト・個人投資家の三井智映子さんは、今年の相場について「テーマから実績へ」「期待から投資回収へ」と移るスピードが想定より早かったと振り返ります。
夏枯れ相場をどう捉え、どこに資金を置くのかなどについて伺いました。インタビュー全2回の第1回。
ボラタイルな相場は今後も継続
ーーまず、今の相場観をお聞かせいただけるでしょうか。
過剰流動性という前提は変わっていません。ボラタイルな相場は、今後も続くでしょう。セミナーでもお話ししているのですが、AI・半導体に引っ張られて今年前半にこれだけ上がった以上、次は誰が売り手になるかを考えておかないといけません。日本株の売買では海外投資家の存在感が大きいので、彼らやヘッジファンドの事情に目を向けたほうが良いと考えています。
「夏枯れ」という相場格言がありますよね。夏季休暇に入る前に、どうしても利益を確定しなければならない人たちがいるわけです。夏前にこれだけ上がっていれば、夏場の値動きは荒くなりますし、利益確定による急落が来てもおかしくないのです。どこまで深く下げるかは読めませんが、確率としては高いと思っています。
荒い値動きがある一方で、ダウもS&P500も過去最高値を更新しています。金余りの中で株式市場にお金が集まってくる流れそのものは、まだ変わっていないんです。
そのため、二つの目線を持っておくことですね。需給や、週末要因、月末要因、夏枯れといった短期の材料から、「そういう立場の人は今、ポジションをどうしたいか」を考える癖をつけると良いと思います。これが一つ目。
もう一つは、過剰流動性で市場に潤沢な資金が存在し、投資資金が株式などのリスク資産に向かいやすいので「現金を、より価値が保全される資産に変えておきたい」という大きな流れ。この二軸で見るのが得策だと考えています。
ーー前回の取材から見方を修正された点はありますか。
AI相場が想定以上に長く続く可能性がある一方で、「AI関連なら何でも上がる相場」は想定より早く終わりつつあるという点が変わったところです。
以前から、過剰流動性によって幅広い銘柄が買われる相場から、業績や財務を見ながら選別する相場へ移行すると考えていました。その方向性自体は変わっていませんが、選別が一方向に進んだわけではありません。AI関連企業の好決算が足元を支えていますし、短期間だけ流動性相場に戻る局面もありました。NT倍率の上昇も早かったですね。
AI投資の規模が拡大する中で、投資額に見合う売上高やキャッシュフローを生み出せるかが厳しく問われるようになってきました。修正点を整理すると、AI相場が終わるということではなく、AI相場の中でも「テーマから実績へ」「売上高からキャッシュフローへ」「期待から投資回収へ」と評価軸が移るスピードが想定より早かったということです。
ーーもっと詳しくお願いします。
ポイントは三つあります。第一に、AI関連の売上高が実際に増えているのか。第二に、設備投資によって営業キャッシュフローやフリーキャッシュフローが悪化しすぎていないか。ここは最低限押さえておくべき点だと思います。
第三に、技術力だけでなく、価格決定力と顧客の継続性です。「AI」という言葉が株価を押し上げてきた段階から、「AIが決算を押し上げる段階」に移ってきたと捉えると分かりやすいと思います。