地図に載っていない出演ステージ、日本語が通じない受付…吉田豪が目撃した『POP GALAXY 2026』のカオスと、主催者との9年ぶりの再会
2026年8月15日・16日にお台場R地区で開催された都市型フェス『POP GALAXY 2026』。事前の準備不足や施工トラブル、相次ぐ出演辞退などが報じられネットニュースを騒がせたが、当日の現場ではオタクも演者もそのカオスな状況を「ネタ」として嬉々としてSNSに投稿し、一種の祭りとして楽しむ光景が広がっていた。2日間のトーク出演を果たし、現場の混乱を実況したプロインタビュアーの吉田豪氏が、現地で起きていたリアルな構造と主催イベンター・N氏の実像をフラットに解き明かす。
みんかぶプレミアム連載「吉田豪の月イチ気になる話。」
会場マップにも載っていないステージ、日本語が通じない出演者受付…カオスのはじまり
この前お台場で開催された『POP GALAXY 2026』が「令和一番のやばいイベント」と悪目立ちしてヤフーニュースにまで載るレベルで炎上していましたね。ボクは今回、2日間ともトークコーナーの出演者として現場にいたんですけど、まあ最初の段階から不条理の連続だったんです。
当日の状況はボクもそのままXに投稿してかなりバズったんですけど、まず会場に着いて自分の出るトークスペースに行こうと思ったら、そもそも自分の出番がタイムテーブルにも載っていなければ、会場の地図にもそのステージが存在しない(笑)。『地図にない街』(フィリップ・K・ディック)ってタイトルが頭に浮かびましたけど、もはやSFですよね。長年地下アイドル界隈のまとめをしている「チカカラ山本」さんという人がいて、ボクも面識があるし今回もこのイベント関連の様々なトラブルをまとめてバズりまくってたんですけど、誰よりもこのイベントに詳しいはずのあの人でさえボクの出番や時間を把握できていなかった。そんなのお客さんがわかるわけもないし、今回はなぜかスタッフすらもよくわかってなかったんです。
一応、事前に関係者用のタイムテーブルはもらっていたから出番の時間はわかるけど、そもそもどこに行っていいのかわからないし何も伝えられていない。その時点で謎解きイベントみたいな状態なんですよ。このイベントは各ステージにジュピターステージとかムーンステージとか銀河系っぽい名前が付けられていて、お客さんは「ステージにそういう名前が書かれたボードとかもないからどこがどれなのかわからない」ってボヤいてたんですけど、こっちは地図にさえ載ってない。でも、入場口の近くってことだけは告知画像に書かれていたから、とりあえずそこに向かったんですよ。
で、入場口で手が空いていたスタッフに「出演者受付はどこですか?」と聞こうとしたらケバブ屋さんの店員みたいな外国人のスタッフしかいなくて、ゆっくり話してみたけどきょとんとしていて、「出演者」という基本的な日本語すら通じなくていきなり詰んじゃったという。お客さんもかなりボヤいていたんですけど、主要な場所に日本語が通じない人を配置するという画期的なシステムをとっていたんですよね(笑)。
困り果ててたら日本人スタッフが出てきて、「受付はあっちです」と会場のほぼ反対側を指さされて。言われたとおりに向かったら日本人スタッフがいたからまた聞いてみたら、「スタッフが全然足りなくてわからないんですけど、多分あっちのビルだと思います」と曖昧な返答。そこまで歩いて行ったら、出演するアイドルも大勢いて、受付らしきテーブルも発見したから、そこの列に並んだんですよ。で、「吉田豪です」と名乗ったら、「トーク? とりあえずトークの受付はここじゃないです。何も聞いてないです」と断られる(笑)。別のスタッフが出てきていろいろ電話して、それで「案内しますね」と連れて行ってくれた先が、最初に話しかけたあの入場口だったんですよ。完全に振り出しに戻るという、絵に書いたようなたらい回しっぷりでした。
ただ、その案内してくれたスタッフも「いや〜、すごいことになってますね。でも、思ったより荒れてないですね」「実は吉田さんが昔出た奈良のイベントのときも、ずっと実況を見てたんですよ。あれもおもしろかったなー」なんて無邪気に笑っていて、スタッフ自身もそんなノリだったんです。
『POP GALAXY』主催者から9年間オファーを拒否し続けていた理由
このイベントを手掛けたのが、ボクが2012年頃から付き合いのあるイベンターの「Nさん」なんです。ネット上では元部下みたいな人たちが「昔あの人の下で働いてました」と次々に名乗り出て内部告発的なことをしてましたけど、そういう人たちもみんなボロクソに言いつつある種の才能はあるみたいなことは言ってて、実際に音楽的なセンスやビジネスの先見性はちゃんとある人なんですよ。
渋谷のサーキットフェスやローカルフェス、メンズ地下アイドル(メン地下)ビジネスの走りを手掛けてもいるし、いろんな意味で伝説と言われた淡路島のアイドルイベントをやったのもこの人。手がけていたアイドルグループ「ラブアンドロイド」に、スーパーカーの「Strobolights」をカバーさせたりする面白いセンスもあった。最近も歌舞伎町でライブハウスをやっているんですけど、そこも「通常チケット」と「焼き鳥10本付き最前チケット」みたいな独特すぎる売り方をしていて、たぶん今回いたような外国人スタッフに焼き鳥を焼かせているんだろうなって容易に想像できるような、先見性とアバウトさが同居している人なんですよね。